国立公園や温泉地など自然豊かな環境の中にある宿泊施設。誰もが低価格で快適に利用できるよう、旧厚生省が1956年に制度化した。当時は宿泊施設が少なかったこともあり、全国で建設が進んだ。国民宿舎協会によると、公営の国民宿舎は、82年度には345カ所あったが年々減少し、今年7月末時点で46カ所。民営の国民宿舎もある。
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労働の疲労を回復させ、健康の増進を図るため、だれもが低料金で泊まれることを目的に、1957年(昭和32)から営業を開始した公営の宿泊施設。環境省が中心となり、厚生年金保険や国民年金の積立金を地方公共団体に還元融資、建設と経営をゆだねているもので、2019年(令和1)時点で全国に79軒ある。宿舎の建設基準は、海、山、渓谷、高原、湖、温泉などの組合せによる景勝地で、北海道から鹿児島まで設けられ、年間利用者は約98万8000人(2018)。
このほか民営の国民宿舎も全国に54軒(2019)ある。旅館や山小屋が民営国民宿舎としての指定を受けたものだが、宿泊料金は公営も民営も一律である。民営国民宿舎は国立公園か国定公園の地域内にあり、営業申請を受けた財団法人国立公園協会が許可していたが、同協会が2012年(平成24)3月末に解散して以降は、民営国民宿舎協議会の理事会が審査・認定している。
[沢 史生]
『『全国国民宿舎』改訂20版(1982・日本交通公社)』▽『旅行図書グループ編『国民宿舎と休暇村』(1999・山と渓谷社)』▽『『休暇村ガイドブック2002~2003 公営国民宿舎ガイド』(2002・財団法人休暇村協会)』▽『国土交通省編『観光白書』各年版(財務省印刷局)』
国立公園や国定公園,あるいは県立公園などの優れた自然景観の地に,国民のだれもが安い費用で健全なレクリエーションを楽しみつつ,健康の増進をはかることを目的として建てられた公的な宿泊休養施設。1956年度から地方公共団体が環境庁(当初は厚生省)の指導のもとに,厚生年金保険や国民年金の積立金還元融資により建設しており,2008年7月現在,全国に150ヵ所ある。施設の多くは鉄筋コンクリートづくり2~3階建てで,和室中心,冷暖房設備も整っている。このほか,国の定める公営国民宿舎に関する基準に準じて,財団法人国立公園協会が民間の旅館の申請により審査し,指定している民営の国民宿舎がある。1959年度から指定が始まり,2008年7月現在,全国で103施設がその指定を受け運営されている。
執筆者:内藤 錦樹
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