北海道中央部、夕張川の上流部を占める都市。1980年代までは石狩炭田(いしかりたんでん)南部の炭鉱都市であった。1943年(昭和18)市制施行。地名はアイヌ語「ユーパロ」(鉱泉の口の意)に由来し、夕張川に基づく。市域の大半は夕張山地の森林帯で、夕張川とその支流筋に人口が集中する。その南部を東西に横断して、1981年(昭和56)トンネルの多い国鉄石勝(せきしょう)線(1987年JR移管)が開通、千歳(ちとせ)空港と十勝(とかち)地方を短絡して北海道の主要幹線となり、従来の国鉄夕張線の一部(追分―新夕張―夕張間)が編入された(2019年4月に新夕張―夕張間の夕張支線は廃止)。国道274号、452号が通じ、道東自動車道夕張インターチェンジ(1999年開通)がある。夕張川支流志幌加別(しほろかべつ)川沿いに石炭の大露頭が発見され、1890年(明治23)北海道炭礦汽船(ほっかいどうたんこうきせん)(北炭)が採炭を開始、以来多くの炭鉱が開発され、夕張川本支流の各地に炭鉱集落が発達し、発祥地付近に本町(ほんちょう)商店街もできた。1960年代には年間出炭量3000万トン台、人口も10万を超えた。その後、石炭不況による合理化が進むなかで、原料炭の生産を中心に北炭系の夕張炭鉱、三菱大夕張(みつびしおおゆうばり)炭鉱の2山が残った。しかし主力の夕張炭鉱が1981年ガス爆発の大災害を起こし閉山に追い込まれた。また1985年には三菱南夕張炭鉱もガス爆発により多くの犠牲者を出し、1987年には真谷地(まやち)鉱山も閉山した。1990年(平成2)三菱南夕張炭鉱の閉山で炭鉱は完全に廃止された。南部に夕張メロンやナガイモの栽培など農業地区をもつが、石炭依存度が高かっただけに、市の衰退は著しく、人口も激減した。
[柏村一郎]
対策として、南清水沢、新夕張、沼ノ沢に工業団地を造成して企業誘致を図るとともに、石炭博物館(1980年開館)、石炭の歴史村(1983年開設)、夕張鹿鳴(ろくめい)館(旧北炭鹿の谷倶楽部(くらぶ)、1994年観覧開始)などの整備による観光開発を行ったが振るわず、過大な投資事業は次々失敗した。また人口激減に伴う歳入(市税・地方交付税)の減少に対応した組織の縮小が遅れ、財政状況は逼迫(ひっぱく)していったが、金融機関からの一時借入金を利用し赤字の表面化を回避する手法をとったため、実質的な負債は自力再建ができないほどの膨大な額となり、2007年3月夕張市は財政再建団体となった。面積763.07平方キロメートル、人口7334(2020)。
[編集部]
『『夕張市史』(1991・夕張市)』▽『増谷栄一著『昭和小史 北炭夕張炭鉱の悲劇』(1996・彩流社)』▽『橋本行史著『自治体破たん・「夕張ショック」の本質』(2006・公人の友社)』▽『保母武彦・河合博司他著『夕張 破綻と再生――財政危機から地域を再建するために』(2007・自治体研究社)』▽『鷲田小彌太著『夕張問題』(祥伝社新書)』
北海道中央部の市。1943年市制。人口1万0922(2010)。夕張山地の西部に位置し,石狩炭田の南端,夕張川上流域と支流志幌加別川などの流域を占め,市域の大半は山林である。夕張川と支流志幌加別川沿いの谷底から傾斜地にかけてかつては炭鉱集落があり,中心市街はJR夕張駅南西方に発達している。1888年志幌加別川流域で良質の炭層露頭が発見され,2年後北海道炭礦鉄道が採炭を開始し,以後多くの炭鉱が開発された。市制施行時に7万以上の人口があり,60年には10万8000人に達したが,その後の石炭合理化政策により閉山があいつぎ,90年3月,三菱石炭鉱業の南大夕張礦業所が閉山して,夕張から炭鉱がすべて消えた。人口は95年現在2万人を割っている。沼の沢付近などの夕張川流域では野菜栽培が盛んに行われ,メロンを特産する。81年石勝線が開通して旧夕張線と結ばれ,夕張線は新夕張~夕張間を含めて石勝線と改称した。道東自動車道のインターチェンジがある。83年炭鉱跡地に石炭博物館などを含む〈石炭の歴史村〉が開かれた。2006年,財政破綻により財政再建団体への移行を表明した。
執筆者:奥平 忠志
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