コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

地球熱学 ちきゅうねつがくgeothermics

世界大百科事典 第2版の解説

ちきゅうねつがく【地球熱学 geothermics】

地球の熱的性質や,地球内部での熱過程を研究する地球物理学の一分野。地球全体を対象として,地球内部の温度分布,熱源分布,熱伝達機構,さらには地球生成以来の熱的歴史などを取り扱う研究と,より局地的な火山や地熱異常および地熱利用などを取り扱う研究に大別されるが,それらを連結するものとして,やや広域的な造山運動ないしはプレートテクトニクスの原動力,マグマの成因などを熱的な立場から研究する分野も含まれる。これらの研究を達成するのに必要な情報を得るため,具体的には,地殻熱流量の測定,岩石や鉱物の放射性熱源含有量および熱的諸物性(熱伝導率比熱熱膨張率,融解温度,粘性率など)の測定,物質移動をともなう系(例えば熱水系)での熱伝達機構,熱対流の実験的・理論的研究などが行われる。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

地球熱学
ちきゅうねつがく
geothermics

地球上にみられるさまざまな地質現象を熱エネルギー論的に研究する地球物理学の一分野。地球全体の熱収支を考えるとき、際だって大きな比率を占めるのは太陽からの放射と地表からの反射である。大気中や地下のごく浅い部分の温度場はほとんどこれらによって決まるので、気象学においてはきわめて重要であるが、地球内部の熱的状態にはほとんど影響を与えず、地質現象に直接かかわり合うことはまれである。地球の熱史を最初に研究したのはイギリスの物理学者ケルビンであるが、地球高温起源説に基づき、しかも放射性発熱を考慮しなかったことから、まったく誤った結論に達した。現在の地球低温起源説によれば、約45億年とされる地球の歴史のごく初期に急速な加熱と核・マントルの分離がおこり、その後はしだいに冷却してきたと考えられている。こうした熱史のなかで地球が獲得してきたエネルギーは、低温の始源物質の集積や核形成に伴う重力エネルギーおよび放射性元素からの発熱であり、これらがさまざまな地質現象のエネルギー源になってきたと考えることができる。地球内部から放出される熱のうちもっとも大きな比率を占めるのは、地殻熱流量である。単位面積当りの熱量はわずかでも地球全表面について合計すると放射性発熱にほぼ等しい量となり、火山活動により放出される熱量の数十倍と見積もられている。こうした熱収支と地質現象の接点として、プレートテクトニクスの考えはきわめて重要である。地球内部の温度はさまざまな観測や理論から、上部マントルで1000℃程度、マントル・核境界で4000℃程度と見積もられているが、こうした条件下では、いわゆるマントル対流がおこりうるとされている。プレート運動は、こうした状況下でのマントル対流の一種であり、地球熱学的な立場からの研究も盛んに行われている。対流は地球の冷却を早める効果があるので、長期的な熱史の研究においても、きわめて重要である。[吉井敏尅]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

地球熱学の関連キーワード大分県別府市野口原別府温泉郷火山観測所上田誠也阿蘇山

今日のキーワード

俳句甲子園

1998年から松山市で開かれる全国高等学校俳句選手権大会。高校生が5人1組で句の優劣をディベートで競い合う。チームでの勝敗とは別に、個人の最優秀句も選ぶ。今年は過去最多の41都道府県から121校、15...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

地球熱学の関連情報