日本大百科全書(ニッポニカ) 「地球電磁気学」の意味・わかりやすい解説
地球電磁気学
ちきゅうでんじきがく
geomagnetism
地球のもっている固有の磁場の分布、時間変化、成因、地球内外の物質や場との相互作用などを研究する地球物理学の一分野。ロケットや人工衛星などの観測手段の飛躍的な進歩に伴って、対象とされる領域は地球近傍から地球磁気圏、惑星間空間へと大きく広がってきた。現在の地球電磁気学には次のようなさまざまな研究が含まれている。
(1)現在の地球磁場の分布や成因に関連した、地球内部物質の電磁気的性質、主磁場、永年変化、ダイナモ理論についての研究。(2)岩石のもつ残留磁化によって数千年から数十億年というさまざまなタイムスケールについての磁場の変化を調べる(古地磁気学)。(3)高度50~250キロメートルに広がる電離層内での、荷電粒子や中性大気のようすを研究する(電離圏物理学)。(4)さらに外側の、地球半径の数十倍までの地球磁気圏での諸現象(オーロラ、磁気嵐(あらし)など)を対象とする(磁気圏物理学)。(5)さらに遠く、太陽から吹き寄せる高速のプラズマ流である太陽風と、地球その他惑星磁気圏との相互作用の解明を目ざす(太陽地球系物理学)、などである。(3)~(5)はまとめて超高層物理学または太陽系空間物理学とよばれることが多い。
[河野 長]
『大林辰蔵著『宇宙空間物理学』(1970・裳華房)』▽『力武常次著『地球電磁気学』(1972・岩波書店)』