デジタル大辞泉
「埒」の意味・読み・例文・類語
らち【埒】[漢字項目]
[音]ラチ(慣) ラツ(慣) レツ(漢)
〈ラチ〉仕切りの垣。囲い。また、範囲。限界。「埒外・埒内/馬埒・不埒」
〈ラツ〉囲い。限界。「放埒」
[補説]「埓」は俗字。
らち【×埒】
1 馬場の周囲に巡らした柵。
2 物の周囲に、また仕切りとして設けた柵。駅の改札口付近の柵など。
3 物事の区切り。また、限界。「職権の埒を超える」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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らち【埒】
- 〘 名詞 〙
- ① 馬場の周囲に設けた柵(さく)。古くは高く作った左側を雄埒、低く作った右側を雌埒といい、現在は内側のものを内埒、外側のものを外埒という。
- [初出の実例]「令下二大和国一結二作春日神社走馬塲
一。并加中掃除上。先レ是」(出典:日本三代実録‐元慶六年(882)一〇月二五日)
- ② 物の周囲に設けた柵。
- [初出の実例]「熊倉の北の脇をすぐるに、らちの外に、熊の大王を見つけて」(出典:曾我物語(南北朝頃)一)
- ③ 転じて、物事の区切り。適当な範囲。また、物事に結末をつけること。らっち。
- [初出の実例]「必竟二人がこの座の埒(ラチ)はそもいかならん」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)三)
埒の語誌
( ③について ) 「蜻蛉‐下」には「立てたる所はべなる。槽(ふね)は、今日明日のほどに、らちふすべき所ほしげになん」とある。が、この部分を「うちふす」と考える説もあり、確例とはみなしがたい。従って、③の意味の派生は、「らち(埒)が明く」「らち(埒)を越える」の挙例「日葡辞書」などにより、中世後期ごろとも考えられる。近世には促音を挿入して強調したラッチという形も生まれた。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「埒」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の埒の言及
【馬場】より
…江戸では城内の吹上御庭に,城下にも神田,馬喰町,木挽町,溜池,十番,高田,小日向,小石川,浅草,本所などにあったことが知られる。これらの馬場は土塁および垣(埒(らち)という)で囲われ,長さが100間ほどあるのに幅は10間ほどという細長い形が多いが,これは馬を一直線に走らせて弓矢を射る流鏑馬,笠懸のような競技が多かったためである。〈初音の馬場〉と呼ばれた馬喰町馬場は,関ヶ原の戦の馬揃を行ったという伝えのある古くからの馬場で,明暦大火(1657)後に縮小された。…
※「埒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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