計量の安全確保のために必要な事項を定めた法律。1951年(昭和26)6月7日法律第207号として公布、1952年3月1日から施行された。その後数次の改正を経て今日に至っている。基本的には1891年(明治24)制定の「度量衡法」を踏襲し、対象とする「物象の状態の量」の種類が、度量衡3量(長さ・体積・重さ)から大幅に増加された。「計量法」と改めたのはそのためである。1993年(平成5)には、計量単位をすべて国際単位系(SI)へ統一する改正が行われ、1999年9月30日までに、これまで国際単位系と食い違っていた一部の単位の切り替えを実施した。しかし、慣習上あるいは産業分野の特殊性により、計量法では一部の非SI単位の使用を容認している。
内容を大別すると、計量単位とその規制、計量器に関する事業の規制、計量の安全確保、計量器の検定・検査である。対象となる物象の状態の量は72種類(2012年時点)で、これを法定計量単位としている。これらはすべてメートル法によっており、第8条で、取引、証明には法定計量単位以外は使ってはならないとしている。これが日本のメートル法による統一の根拠である。
対象となる計量器は温度計、電力量計など18器種であるが、これらは状勢により改廃される。ここにあげられた計量器を製造する者は経済産業大臣の登録を、修理する者および政令で定められる計量器を販売する者は都道府県知事の登録を受けなくてはならない。製造および修理事業者は、一定の検査設備を備え、かつ製造の場合は社内検査規程を届け出てこれを守らなければならない。これは、まず製造・修理の段階で必要な性能を確保するためである。
計量の安全確保の内容は、家庭用計量器の製造時における基準適合義務、体温計など政令で定める計量器の検定品以外の販売禁止、計量器の使用の制限、商品の量目誤差の規定、計量器の用途や使用方法の制限等である。検定はとくに必要と認められるもので、政令で定められたものについて行われる。このうち商用秤(はかり)などは使用中のものについて定期検査が行われるが、計量法に定められた事項一般については立入検査を行うことができる。違反に対しては罰則が設けられている。
[小泉袈裟勝・今井秀孝 2015年4月17日]
計量の基準を定め,適正な計量の実施を確保することにより,経済の発展と文化の向上をはかることを目的とする法律。1951年公布。人類が交易による商取引をはじめた時代から計量行為も始まるが,原始的な形態においてはその基準となる単位も部族ごと,部落ごとにまちまちであった。集団の規模が拡大し,交易範囲が広がるにつれて,諸単位が徐々に,一定の地理的な範囲で,制度的なまとまりを持つに至るが,この過程は,同時に,権力的な商取引圏の統一化の過程でもあり,その権力存続の基礎たる租税の徴収単位を統一する過程にほかならなかった。いわゆる度量衡の統一は,あらゆる国でこのような意味を持ち,強力な中央集権国家が成立するまでは,地方的な多様性をある程度許容する形での進展が見られるのである。日本においても,1875年の度量衡取締条例による近代国家としての度量衡統一の後,91年に度量衡法が制定された。同法の下では,メートル法を基礎に尺貫法が定められた。その後,温度,密度,圧力の計量も同法によることとされるなど,学術的計量にも範囲が拡大し,このような流れの中で,1951年に度量衡法を,より広い目的を有する計量法に改正したのである。現行法は長さ,質量,時間,電流,温度,光度等の計量単位を,国際単位系に準じて基本単位,誘導単位,補助計量単位の形で法定し,それ以外の単位による取引,証明を禁じている。そのほかに,計量器の製造,修理,販売の各業の取締りや,計量器の検定,検査,計量士等についての定めを置いている。計量の正確さを確保する法として,消費者保護法としても重要である。
→単位 →度量衡
執筆者:来生 新
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(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)
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…1860年代からの研究と協議の成果であって,1948年まで広く用いられてきた。日本でも1910年の法律に採用されたが,この法律は66年に廃止され,現行の計量法は,国際単位とは別の,その後に協約された,絶対単位の系統の国際単位系の単位を採用している。【高田 誠二】。…
…同じ年に,当時の皇太子・裕仁親王は,国際度量衡局を訪問,参観した。 メートル法への統一は,1930年代の反動期を経て,58年にようやく結実するのであるが,その間,度量衡法は全面的に改められ新たに計量法が成立し(1951),その公布の日である6月7日が計量記念日と名付けられた。上記の検定所の名は,中央度量衡検定所(1913),中央計量検定所(1952),計量研究所(1961)と順次に変更され,地方自治体の度量衡検定所なども計量検定所,計量検査所のように改称された。…
※「計量法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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