外交特権(読み)がいこうとっけん(英語表記)diplomatic privileges and immunities

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

外交特権
がいこうとっけん
diplomatic privileges and immunities

外交官などに与えられる特権・免除不可侵権 (公館,住居,身体,文書,通信などの不可侵) および治外法権 (裁判権,警察権,課税権からの免除) から成る。外交使節団の長および外交職員は広範な特権・免除を享有し,事務・技術職員 (タイピスト,電信係など) ,役務職員などもウィーン外交関係条約に規定する一定の特権・免除を享有する。外交特権は,外交公館や外交官の住居,家族にも及ぶ。ただし,ウィーン外交関係条約は「接受国の法令を尊重することは特権および免除を享有するすべての者の義務である」と規定する (41条) 。外交官が犯罪を犯した場合には,派遣国は当該外交官の裁判権からの免除を放棄することもできる (32条) 。

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百科事典マイペディアの解説

外交特権【がいこうとっけん】

外交使節とその随員に対して接受国から与えられる特権。国家の尊厳を維持しかつ職務を有効に遂行するため国家が相互に与えあう。身体,名誉,館邸,文書,財産に対する不可侵権と,刑事・民事裁判権,課税権,警察権の免除などの治外法権とからなり,外交使節の特権および免除とも称される。領事には裁判権,警察権の免除はない。
→関連項目外交官外交関係に関するウィーン条約元首在外公館

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世界大百科事典 第2版の解説

がいこうとっけん【外交特権 diplomatic privileges】

通常,外交特権とは外交官(使節団の長および外交職員)とその家族が接受国で与えられる特権・免除および公館としての特権・免除をいうが,秘書,タイピスト等の事務・技術職員とその家族および運転手や門番等の役務職員等も限られた特権・免除を有する。外交特権は従来より国際慣習法上認められてきたものであるが,特権免除の根拠や範囲・内容については必ずしも統一されていなかった。しかし,1961年に〈外交関係に関するウィーン条約〉が採択され,慣習法が法典化されたため,外交特権は国際法上明確なものとなった。

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大辞林 第三版の解説

がいこうとっけん【外交特権】

外交使節がその駐在国でもつ不可侵権・治外法権などの特権。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

外交特権
がいこうとっけん
diplomatic privileges

国際法上、外国の外交使節団および外交官には、一般の外国人とは異なる特別の保護・待遇が与えられる。これを外交特権または外交特権免除という。外交官にこのような特別の地位が認められるのは、彼らが国家を代表してその名誉と威厳を維持し、任務を能率的に遂行する必要があるからである。外交特権には不可侵権と治外法権がある。不可侵権は、外交使節の生命・身体・自由・名誉・館邸・公文書・通信などを侵されない権利である。接受国は、官吏自身がこれらを侵害してはならないことはもとより、一般の私人がこれを侵害しないように十分の警備を尽くさなければならない。たとえば、外交官を逮捕・拘束するなどはできないし、私人が大使館に侵入することのないよう十分な措置を講じておかなければならない。治外法権とは、外交官が接受国の刑事・民事・行政の各裁判権、警察権、租税権、役務・社会保障などの行政権より免除されることである。たとえば、接受国が外交官を訴追・処罰できるのは、その本国が明示的に特権を放棄した場合のみである。
 外交特権は、外交官とその家族のほか、元首や外務大臣にも同様に認められ、また、使節団の事務技術職員および役務職員とそれらの家族にも、より制限的ではあるが一定の範囲で認められる。なお、特別使節団の構成員、国際組織に派遣される各国代表部の構成員、国際組織の上級職員、国際司法裁判所裁判官などにも、外交特権に準ずる特権が認められる。[広部和也]

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世界大百科事典内の外交特権の言及

【不可侵権】より

…外交官が接受国において一般外国人よりも手厚い保護を受ける権利のことで,外交特権の一部にあたる。古代においては外国人は敵と同一視され,殺されたり奴隷にされたりするのがふつうであったが,中世イタリアの都市国家の間で通商が盛んになるにつれ,相互に国家の代表を常駐させる必要が生じてきた。…

※「外交特権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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