(読み)シュク

デジタル大辞泉 「夙」の意味・読み・例文・類語

しゅく【夙】[漢字項目]

[音]シュク(呉)(漢) [訓]つとに
昔から。早い時期から。つとに。「夙志夙成
朝早く。「夙夜
[名のり]あさ・つと・とし・はや

しゅく【×夙】

江戸時代畿内に多く居住し、賤民視された人々。天皇御陵番である守戸しゅこのなまりともいうが未詳。夙の者。

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精選版 日本国語大辞典 「夙」の意味・読み・例文・類語

しゅく【夙】

  1. 〘 名詞 〙 ( 天皇の御陵番である守戸(しゅこ)の訛という ) 江戸時代、中世非人の宿(しゅく)の者の後身をいった。御陵が多い近畿地方に多く住み、寺社の掃除や葬送に従事したり、農業・酒造のほか、歌舞音曲、小芝居などをして生活するものもいた。穢多の支配に服した者もいたが、大和の者は平民と余り差別がみられなかった。宿、守公、守宮とも書く。しゅくのもの。

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普及版 字通 「夙」の読み・字形・画数・意味


6画

[字音] シュク
[字訓] つとに・はやい

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
正篆の字形に作り、夕+(けき)。夕を奉ずる形。夕は卜文では月の形に作り、金文では肉の形かともみえる。卜文の字形によれば、月を拝する象とみられ、早朝の残月を拝する意であろう。〔説文〕七上に「早なり。に從ふ。事を持して、夕と雖も休まず、早なるなり」とあって、は夙の初文。古文の二形は宿の初文とみられ、人が席(てんせき)(しきもの)を用いる形で、夙とは別の字であろう。

[訓義]
1. つとめて、あさはやく、月を拝する儀礼
2. つとに、はやい。
3. 宿と通じ、宿昔の意。むかし、むかしから。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕夙 飄(へうやう)、豆牟志加世(つむじかぜ)、、阿志太(あした)〔名義抄〕夙 アシタ・ハヤシ・ハヤク・ツトニ・トシ・ハゲシ・ヒル・ツトメテ・オドロク・スミヤカニ・ツムジカゼ 〔字鏡集〕夙 ハヤシ・アシタ・ウヤマフ・スミヤカ・ツト・ハゲシ・オドロク・ツトメテ・ツトニ・トシ・ヒル

[語系]
夙suk、早tzuは声義に通ずるところがある。夙は夙早の儀礼を示す字。早は是(スプーン)の上部の形。蚤tzuも同声で、かゆいところを爪でかく形。早・蚤を夙の義に用いるのは、声の仮借である。

[熟語]
夙愛・夙意・夙縁夙怨夙駕夙懐夙願・夙起夙契夙慧・夙・夙見・夙孤・夙悟・夙興・夙好・夙志・夙疾・夙儒・夙就・夙宵・夙心・夙成・夙世・夙生・夙昔・夙素・夙賊・夙退・夙達・夙智・夙知・夙衷・夙敏・夙分・夙暮・夙茂・夙夜・夙齢
[下接語]
昏夙・載夙・震夙

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【宿】より

…この〈非人宿〉の場合には,その統轄の任には大寺社などから権限をゆだねられた僧体の〈長吏(ちようり)〉〈長吏法師〉が当たった。近世において,被差別部落の一部の名称として〈宿〉〈夙(しゆく)〉の語がひろまり,その地域の住民を〈宿の者〉〈夙の者〉と呼びならわしたのは,当該地域が前代の〈非人宿〉の系譜をひくものと認識されたためと推察される。また近世においては同じく被差別部落をさすのに〈宿〉よりも〈夙〉のほうが多用されたようであるが,これには文字表現の上で一般的な〈宿〉(宿場町)と〈非人宿〉(特別に賤視される人々の集落)とを明確に区別する意識が働いていたのかもしれない。…

※「夙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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