家族類型の一つとして、その構成員数の大小、および構成員の続柄関係の複雑さの程度に注目して大家族・小家族に分類することがある。一般的には構成員の数が極端に多く、加えてその続柄関係が極端に複雑な家族を大家族とよぶが、学問的に確立した概念とはいいがたい。日本では大正初期まで存続した岐阜県白川村の大家族が有名で、平均30人、なかには40人を超える家族が合掌造で知られる大きな家屋の中で生活していた。白川村の家族では、配偶者と同居できるのは世帯主のみに限られていて、世帯主の兄弟姉妹およびその他の傍系親は生涯にわたって自分の配偶者と同居することなく生家にとどまって、男性は女性のもとへ通い、子供は女性の家で育てるという慣習があった。このために、たとえば、いとこ・いとこちがい・またいとこちがいなど、現代家族では想像しがたい複雑な続柄の傍系親が同じ家族の構成員として同居していた。
19世紀後半に流行した社会進化論(社会ダーウィン主義)において、家族は大家族から小家族へ進化したという見方があり、このために大家族すなわち古代家族あるいは家父長制家族とみる誤りを生んできた。白川村の大家族も、以前には日本古代家族の遺制として取り上げられたこともあるが、いまではこの見方は否定されており、過去の閉ざされた社会に出現した例外的な生活形態とみられている。すなわち、山村のゆえに耕地が少なく、分家が困難であるうえに、養蚕を主要な生業としていたために女性労働力の流出を嫌い、それが大家族形成という特異な慣行を生んだと考えられている。
ところで、こうした混同や誤解を避けるために、現在の家族社会学ではアメリカの人類学者G・P・マードックの分類に従って、大家族・小家族のかわりに拡大家族・核家族という用語が一般化している。しかし、拡大家族はかならずしも多数家族とは限らないし、核家族も同様に少数家族とは限らない。
[増田光吉・野々山久也]
『森岡清美編『社会学講座3 家族社会学』(1972・東京大学出版会)』▽『大橋薫・増田光吉編『改訂 家族社会学』(1976・川島書店)』
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