大手拓次(読み)おおてたくじ

百科事典マイペディアの解説

大手拓次【おおてたくじ】

詩人。群馬県生れ。早稲田大学卒業。北原白秋の詩誌《朱欒(ザンボア)》《地上巡礼》《ARS(アルス)》を中心に数多くの口語自由詩を書くが,生前の詩集はない。ボードレールベルレーヌなどフランス象徴詩の影響下にあり,白秋麾下の三羽烏として室生犀星萩原朔太郎と並び称された。生涯独身のまま46歳で没した。処女詩集《藍色》,詩画集《蛇の花嫁》,訳詩集《異国の香り》など。《大手拓次全集》全5巻,別巻1。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

大手拓次 おおて-たくじ

1887-1934 大正-昭和時代前期の詩人。
明治20年11月3日生まれ。早大在学中からボードレールに傾倒。北原白秋主宰の「朱欒(ザンボア)」などに耽美(たんび),幻想の独自の口語象徴詩を発表。萩原朔太郎,室生犀星(むろう-さいせい)とともに白秋門下の三羽烏とよばれた。昭和9年4月18日死去。48歳。死後,詩集「藍色(あいいろ)の蟇(ひき)」などが刊行された。群馬県出身。
【格言など】文案は宝玉の如く光って人の心をひきつけるものでなければならぬ(本業であった広告の仕事で)

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世界大百科事典 第2版の解説

おおてたくじ【大手拓次】

1887‐1934(明治20‐昭和9)
詩人。群馬県の生れ。早大英文科卒。在学中から詩のとりことなり,ボードレールに傾倒,《悪の華》を原書耽読,かたわら日本の古典を渉猟して日本語の機微を身につける。彼の内向的な幻想象徴詩風は,そうした教養体験の上に作られていった。初め吉川惣一郎の筆名を用いたが,北原白秋に認められてからの拓次は,萩原朔太郎,室生犀星と共に白秋旗下の三羽烏といわれ,ことに朔太郎に大きな影響を与えた。極度の含羞癖と孤独の意識は彼独特の官能香気をたたえた詩風にも濃厚だが,また伝説的な誤解をも生んだ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

大手拓次
おおてたくじ
(1887―1934)

詩人。初期の筆名は吉川惣一郎(そういちろう)。明治20年11月3日(戸籍上では12月3日)群馬県生まれ。幼時両親に死別し、磯部(いそべ)温泉の開拓者である祖父万平のもとに成長した。早稲田(わせだ)大学英文科卒業。ライオン歯磨広告部に勤務。生来、羞恥(しゅうち)心が強く、中学時代からの左耳難聴も手伝って孤独癖が強かった。46歳の生涯を独身で通した。北原白秋に認められ、『朱欒(ザンボア)』『地上巡礼』『ARS(アルス)』などに詩を発表、萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)、室生犀星(むろうさいせい)とともに「白秋旗下の三羽烏(さんばがらす)」と称されたが、詩壇的交友はほとんどなく、詩もまた極度に内面的で、妖(あや)しい幻想的な美をほしいままにしている。日本の古典に親しみ、早くからフランス象徴詩の影響を深く受けた彼の完成された口語詩は、音楽的な美しさに富み、朔太郎に強い影響を与えている。三富朽葉(みとみくちは)と並んで日本における新しい象徴詩は彼に始まるといってよい。ボードレールほかの優れた訳詩も多い。昭和9年4月18日、肺結核で死去。死後、詩集『藍色(あいいろ)の蟇(ひき)』(1936)、『蛇の花嫁』(1940)ほかが刊行された。[原 子朗]
『『大手拓次全集』5巻・別巻1(1970~71・白凰社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

おおて‐たくじ【大手拓次】

詩人。ボードレールなど象徴詩に傾倒し、怪奇華麗で夢幻的かつ暗鬱な詩を書いた。死後「藍色の蟇(ひき)」「蛇の花嫁」刊行。明治二〇~昭和九年(一八八七‐一九三四

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世界大百科事典内の大手拓次の言及

【磯部[温泉]】より

…信越本線開通(1885)前は,中山道に近いため慰安客の繁華街として知られたが,近年は県北部の温泉郷に客を奪われている。詩人大手拓次の出身地で,碓氷川橋のほとりに拓次の詩碑がある。湯街には北原白秋,室生犀星,萩原朔太郎,水原秋桜子などの詩碑,歌碑,句碑が多い。…

※「大手拓次」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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