大拍子(読み)ダイビョウシ

デジタル大辞泉 「大拍子」の意味・読み・例文・類語

だい‐びょうし〔‐ビヤウシ〕【大拍子】

里神楽などに用いる打楽器一種で、締め太鼓の胴の長いもの。細桴ほそばち一方の皮を打つ。
歌舞伎下座音楽で、1のほか、大太鼓篠笛しのぶえあるいは能管が入る鳴り物神社の場面などに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「大拍子」の意味・読み・例文・類語

だい‐びょうし‥ビャウシ【大拍子】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 神楽に用いる太鼓の一種。
  3. 歌舞伎の下座音楽で用いる、神楽の小鼓を大きくした形の楽器。また、それを用いた囃子(はやし)の称。ふつう大太鼓(おおだいこ)と打ち合わせ、篠笛三味線のはいることもある。神社の場、神楽の場などに用いる。
    1. [初出の実例]「『両人お来やれ』と台拍子に成り」(出典:歌舞伎・名歌徳三舛玉垣(1801)三立)

おお‐びょうしおほビャウシ【大拍子】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 物事がきわめて快調に進んで行くさま。
    1. [初出の実例]「大拍子(オホビャウシ)なる家業の、材木屋なれ共」(出典浮世草子日本新永代蔵(1713)一)
  3. だいびょうし(大拍子)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大拍子」の意味・わかりやすい解説

大拍子
だいびょうし

日本の楽器の一種。神楽の囃子に用いられ,かん高い音色をもつ膜鳴楽器。細長い黒塗りの胴の両面直径約 25cmの鉄の輪に張った皮を当て,赤い調緒 (しらべお) を穴に通して亀甲型に締めたドラムで,形は大型の鼓に似ている。竹製の細長い2本の桴 (ばち) で右側の皮面を打奏する。里神楽,太々神楽夜神楽などで主役を演じる。歌舞伎の下座音楽にも取入れられている。

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世界大百科事典(旧版)内の大拍子の言及

【太鼓】より

…こうした〈触れ太鼓〉は,相撲などでも用いられる。そのほか,雅楽の〈楽太鼓〉を,〈平丸太鼓〉〈平釣(ひらづり)太鼓〉とも称して用い,民俗芸能の楽器であった,枠なし長胴締太鼓の〈桶胴〉や,枠付き長胴締太鼓の〈大拍子(だいびようし)〉,さらに,鋲打ち短胴で柄の付いた〈柄太鼓(えだいこ)〉,前述の〈団扇太鼓〉などの柄付太鼓(この両者とも,日蓮宗で題目を唱えるときに用いられるが,歌舞伎でとくに〈題目太鼓〉と称するときは,〈柄太鼓〉の方をいうことが多い)なども用いるほか,さまざまな組合せや,改良・転用の結果,独自の太鼓類が数多く開発されてきた。また,寄席(よせ)の囃子は,歌舞伎の囃子を利用しているが,平丸太鼓の小型の〈豆太鼓〉のように寄席独自に開発したものもさまざまにある。…

※「大拍子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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