日本大百科全書(ニッポニカ) 「大豊」の意味・わかりやすい解説
大豊(町)
おおとよ
高知県北東部、長岡郡にある町。徳島、愛媛両県と接する。1972年(昭和47)町制施行。吉野川中流域で、峡谷も多い。平地に恵まれず、古来、林産物に依存し、用材のほか、クリ、近世以前からのコウゾや茶などの産があり、農業は高冷地野菜栽培など。瀬戸内側へ通じる古代官道や山内(やまうち)藩の参勤交代道(北山越)も村内を通過、山越えの立川下名(たじかわしもみょう)に駅や宿所が置かれたが、近代以降は吉野川沿いを国道32号やJR土讃(どさん)線が通じている。国道439号が32号から分岐、高知自動車道が西部を縦断し、大豊インターチェンジが設置されている。梶ヶ森には龍王の滝、キャンプ場や天文台があり、県立自然公園になっている。豊楽寺(ぶらくじ)本堂(薬師堂)は平安時代のもので国宝に指定され、堂内の薬師如来坐像など国指定重要文化財も多い。定福寺(じょうふくじ)境内には民俗資料館がある。旧立川番所書院は国指定重要文化財、八坂神社境内の大スギは特別天然記念物。面積315.06平方キロメートル、人口3252(2020)。
[大脇保彦]
『『大豊町史』全2巻(1974、1987・大豊町)』