大阪港(読み)オオサカコウ

デジタル大辞泉 「大阪港」の意味・読み・例文・類語

おおさか‐こう〔おほさかカウ〕【大阪港】

大阪府大阪市大阪湾奥にある港。国際戦略港湾の一で、管理者は大阪市。古くは難波津とよばれ、江戸期には北前船などの寄港地として栄えた。港湾としては慶応4年(1868)開港工業港としての性格が強い北港、天保山付近の築港、フェリーターミナルをもつ南港の三つの区域に分けられる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大阪港」の意味・わかりやすい解説

大阪港
おおさかこう

大阪市の西端、淀(よど)川の河口に設けられた市営港。港域は、北は尼崎(あまがさき)市との境を流れる中島川河口から、南は堺(さかい)市との境にある大和(やまと)川河口までの大阪湾岸の海域と、その間の河川の河口部が含まれる。大阪市が管理する港湾区域4856ヘクタールには安治(あじ)川内港、天保山(てんぽうざん)運河、大正内港、木津(きづ)川運河などの水域があり、その他の管理区域には、商港区、工業港区、マリーナ港区などの臨港地区1826ヘクタールの陸域が含まれる。

 2015年(平成27)の入港船舶は2万2583隻(1億0370万トン)で、外航5242隻(7088万トン)と内航1万7341隻(3282万トン)になる。取扱貨物は外貿3465万トン(うちコンテナ貨物3018万トン)と内貿4531万トン(うちフェリー貨物2923万トン)を数え、輸移入貨物5023万トンに対し輸移出貨物2973万トンと、内国交易港、工業港としての性格が強いといえる。

 昔の航路標識「みおつくし」を市章にする大阪は、港とともに発達してきた。1868年(慶応4)7月15日、安治川河岸に川口運上所が開かれ、開港したが、河床が浅く、外国貿易船の出入が困難であったため、市民による築港運動が起こった。オランダ人デ・レーケJohannes De Rijke(1842―1913)が設計した第一次修築工事が、1897年(明治30)10月17日天保山で始められたが、当時の市予算の二十数倍の工費が計上され、1903年(明治36)7月1日、築港大桟橋(現、中央突堤付近)ができた。第一次世界大戦の好景気と大阪の産業・貿易の発展を背景に、1929年(昭和4)7月25日に第二次修築工事にとりかかり、北港、南港の建設も進められた。1937~1939年には第二次世界大戦前の最盛期を迎え、取扱貨物量日本一を誇った。しかし、第二次世界大戦の空襲、相次ぐ台風、地盤沈下などにより、壊滅的な打撃を受けた。戦後、大阪経済の復興とともに港勢が上昇し、今日の姿になった。

 現在大阪港には、コンテナ埠頭(ふとう)、ライナー埠頭、フェリー埠頭、食品埠頭や、天保山客船ターミナル、南港航空貨物ターミナルなど、物、人の流れに即応する施設が整えられている。また、咲洲(さきしま)(南港)のコスモスクエア地区には、大阪府咲洲庁舎やアジア太平洋トレード・センター(ATC)などがある。

 一方、大阪南港魚つり園護岸、野鳥園臨港緑地、大阪北港マリーナをはじめ、天保山ハーバービレッジ(海遊館、大阪文化館・天保山、マーメイド広場、大観覧車など)、舞洲(まいしま)スポーツアイランド(野外活動センター(ロッジ舞洲)、新夕陽ヶ丘(ゆうひがおか)など)が整備され、ユニバーサルスタジオ・ジャパンの建設とともに、市民に親しまれるベイエリアの再開発が進められてきた。1997年(平成9)10月に開通した大阪咲洲トンネルは、これらの施設の利用を便利にした。

[位野木壽一・安井 司 2018年9月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「大阪港」の意味・わかりやすい解説

大阪港【おおさかこう】

大阪湾に臨む大阪市の港。港湾法による特定重要港湾。淀川の分流安治(あじ)川の河港中心に1868年開港。以後1897年の築港工事をはじめ数次の築港,拡張・整備を重ね,特に1957年からの南港造成工事によりその機能を向上阪神工業地帯を後背地とする日本の代表的な商港の一つとなった。瀬戸内航路の基点でもある。
→関連項目大阪[府]大阪[市]大阪湾港[区]

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大阪港」の意味・わかりやすい解説

大阪港
おおさかこう

大阪市西部,大阪湾岸にある港。港域は,北は淀川河口から南は大和川河口にわたる。明治1 (1868) 年,安治川河口に波止場が設けられて開港。その後の築港計画により 1897年建設に着手,1903年には大桟橋 (中央突堤) の利用を開始,29年にほぼ完成した。以来,大阪の産業と貿易の発展に伴い港の利用も急増,37年には取扱貨物量が日本第1位となった。第2次世界大戦後,内港計画が進められ,安治川内港,大正内港などが建設されたのに加え,58年着工の南港が完成,近代港湾として整備された。南港には外国貨物船コンテナ埠頭やフェリー埠頭がある。外国貿易,国内交易ともに盛んで,輸入は食料品,原木,鉄鉱石など,輸出は鉄鋼,機械類が多く,相手国はアメリカ合衆国,オーストラリアなど。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「大阪港」の解説

大阪港

大阪府にある港。1952年1月設立。港湾管理者は、大阪市。国際戦略港湾(2011年4月指定)。港湾区域面積は、4,737ヘクタール。江戸時代には北前船や菱垣廻船の寄港地として栄えた。北港周辺は重化学工業地帯。国内最大級のフェリーターミナルがあり、クルーズ船などが寄港する。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android