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大陸浪人 たいりくろうにん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

大陸浪人
たいりくろうにん

1945年にいたる間,日本の大陸進出にかかわった民間活動家をいう。中国大陸を活動の舞台とし,日韓併合や満州国建設には,その政治の裏舞台で一定の役割を果した。デクラッセ反社会的集団の一つで旧士族,軍人,右翼団体員,失業者などが多く,玄洋社系の頭山満内田良平,その他荒尾精,根津一らが代表的人物としてあげられる。一部には辛亥革命当時の中国革命に参加支援する者もあり,大アジア主義の思想に基づく実践活動家の観を呈したが,結局,軍部の対外膨張政策の道具となり,のちには軍の謀略工作,スパイ活動などに従事した。なかには単なる利権目当てのいわゆる政治ごろや浮浪者などもいた。

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デジタル大辞泉の解説

たいりく‐ろうにん〔‐ラウニン〕【大陸浪人】

明治から昭和前半期まで、中国大陸各地に居住・放浪して、種々の画策を行った日本の民間人の称。政治的理想を抱く者もいたが、不平士族や国家主義者が多かった。支那浪人

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世界大百科事典 第2版の解説

たいりくろうにん【大陸浪人】

支那浪人ともいう。明治初年から日中戦争敗戦までの時期に,中国を中心とする大陸各地に居住・放浪して,種々の画策を行った日本人の一群をさす。彼らの行動は多様で,侵略的友好的とを問わずある政治的理想を抱いている者もいたが,当時のニュアンスでは,アジアにおける日本の強国化を念願とし,対外政策の形成と遂行に寄与したいとの自負を抱いて私的に活動する人々,という意味あいであった。〈浪人〉の側面を強調すれば国家意識の薄い利権屋やごろつきを含む反面,官吏,軍人,一般居留民のような有職者は除外される。

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大辞林 第三版の解説

たいりくろうにん【大陸浪人】

主として明治後半期以降、中国大陸で活動した日本の民間人の称。その多くはかつての不平士族や国粋主義者で、政治家や財閥・軍部と連携して暗躍した。支那浪人。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

大陸浪人
たいりくろうにん

日本のアジア政策の一翼を担う自負のもとに、中国、朝鮮などに居住、放浪した民間の国家主義者、大アジア主義者の俗称。支那(しな)浪人ともいった。明治前期、国外に目を向けた不平士族らの一群、たとえば玄洋社系の浪士らがその起源といえよう。在外日本人商店などを拠点として各地の民情、政情を探り、やがて軍部と結んで兵要地誌の調査などにも貢献した。日清(にっしん)・日露戦争では多くの大陸浪人が通訳や軍事探偵として活躍した。日本の帝国主義的対外政策が確立するにつれ、大陸浪人の活動の余地は全体としては狭まったが、中国の革命派に接近して初期の辛亥(しんがい)革命に参画し、のちに日本の政治家と革命派、軍閥とのパイプ役になったり、軍、官庁、政党、企業などから資金を得て、情報の提供や各種の裏面工作を行ったり、一種の専門化が進んだ。彼らはしばしば大言壮語し、冒険小説の主人公にも似たかっこうで、青少年に国家主義や大陸雄飛の観念を鼓吹した。1945年(昭和20)日本の敗戦と植民地・在外権益の喪失で、大陸浪人は存在の条件を失った。岸田吟香(ぎんこう)、荒尾精(あらおせい)、石光真清(いしみつまきよ)、宮崎滔天(とうてん)、西原亀三(かめぞう)らはとくに有名である。[岡部牧夫]
『竹内好編『現代日本思想大系9 アジア主義』(1963・筑摩書房) ▽橋川文三他著『日本の国士』(1982・有斐閣新書)』

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