天下郡国利病書(読み)てんかぐんこくりへいしょ

日本大百科全書(ニッポニカ)「天下郡国利病書」の解説

天下郡国利病書
てんかぐんこくりへいしょ

中国の明(みん)末から清(しん)初の学者である顧炎武(こえんぶ)(1613―82)の著書。全国の地志のなかから、政治、経済に有益な記事を抜き書きして地方別に集録したもの。利病とは益と害の意味で、明代の地方政治の実状を益と害の両面から明らかにして、将来の参考にしようというのが目的である。単なる資料集にすぎず、著者の整理、編集を経ない未定稿で伝えられた。著者の死後、120巻に整理され、木活字本もつくられたが、信用のおけるテキストは原稿を写真複製したものによらねばならない。本書の価値は、今日ではみられない明代の地志から、多くの社会・経済資料が引用されている点にある。

[日比野丈夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「天下郡国利病書」の解説

天下郡国利病書
てんかぐんこくりへいしょ
Tian-xia jun-guo li-bing-shu; T`ien-hsia chün-kuo li-ping-shu

中国,明代の地理書。明末清初の顧炎武。後人の手による 120巻本がある。全国の諸地誌,その他の記事から経世に有用なものを書抜いて,地方別に配列した資料集。

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旺文社世界史事典 三訂版「天下郡国利病書」の解説

天下郡国利病書
てんかぐんこくりへいしょ

清初に顧炎武が編集した地理書
120巻。明代の正史や地方志をはじめ,多数の書物から施政の参考とすべき資料を収集したもので,『水経注 (すいけいちゆう) 』『読史方輿紀要 (どくしほうよきよう) 』と並ぶ地理の三大書。

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世界大百科事典 第2版「天下郡国利病書」の解説

てんかぐんこくりへいしょ【天下郡国利病書 Tiān xià jùn guó lì bìng shū】

中国,清初,顧炎武(こえんぶ)が編纂した地理,経世の書。明代の地方志を中心に,秦議類などから,天下の政治,経済の得失に関係する材料を抽出し,地域別に分類配列する。未定稿で整理はゆきとどかぬが,現在みられぬ華北の地方志の史料なども含み,取捨選択も妥当で,明代の社会経済史研究に役立つ。テキストとしては四部叢刊三編の顧炎武手稿本(不分巻)が最良で,120巻とした竜万育(りゆうばんいく)本ほかはやや劣る。【梅原 郁】

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