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奥田穎川 オクダエイセン

デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

奥田穎川 おくだ-えいせん

1753-1811 江戸時代中期-後期の陶工。
宝暦3年生まれ。質屋をいとなんでいたが,海老屋清兵衛に陶法をまなんで,粟田口に窯をひらいた。呉須(ごす)赤絵,古染付,交趾(コーチ)などの写しを手がけた。京焼磁器の創始者である。門弟青木木米,仁阿弥道八,欽古堂亀祐らの名工がいる。文化8年4月27日死去。59歳。京都出身。本姓穎川(えがわ)。名は庸徳(つねのり)。通称は茂右衛門。別号に陸方山。

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朝日日本歴史人物事典の解説

奥田穎川

没年:文化8.4.27(1811.6.17)
生年:宝暦3(1753)
江戸後期の京焼の陶工。本名穎川庸徳,通称茂右衛門。先祖は明末清初の動乱期に日本に逃れた帰化人といわれ,穎川の号はその出身地中国穎川県にちなむという。京都五条上ル大黒町で質商丸屋を営む叔父の養子となり,質商を営んだが30歳ごろから作陶に志す。安政1(1854)年刊の田中梅軒の『陶器考』によれば五条坂の陶工海老屋清兵衛に陶技を学んだとされる。その作風は当時の五条坂窯の作風から離れ,天明年間(1781~89)には京焼で初めて本格的な磁器の焼成に成功し,京焼の磁祖とされている。当時の京洛の富豪層に流行していた文人趣味,煎茶趣味にかなった中国古陶磁に照準を定め,古赤絵,呉須赤絵,古染付,交趾などの写しがあるが,特に呉須赤絵には優れた作品が多い。作品には「穎川」「庸」「陸方山」などの銘が入れられているものがある。門下から,青木木米,仁阿弥道八,欽古堂亀祐,楽只亭嘉介を輩出し,京焼第2期黄金時代を築いた。

(伊藤嘉章)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

おくだえいせん【奥田穎川】

1753‐1811(宝暦3‐文化8)
江戸中期の陶工。京焼中興の祖といわれる。中国(明)からの帰化人穎川氏の後裔といわれ,質商丸屋を営む奥田家に養子となり,旧姓穎川を号した。名は庸徳,通称茂右衛門。建仁寺の南,大黒町五条上ルに居住し,当時流行した南画や煎茶を中心とする中華趣味に触発され,天明年間(1781‐89)ころから製陶を志したらしい。京焼で初めて本格的な磁器焼造を手がけ,中国の交趾,古染付,古赤絵,呉須赤絵などの写しにすぐれ,とくに呉須赤絵写しは得意で,粗末な白磁胎に鮮やかな赤や緑で豪放な絵付けを施す作品は,中国のものをもしのいでいる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

奥田穎川
おくだえいせん
(1753―1811)

江戸後期の京都の陶工。初めて京都で磁器を創始したために京焼の磁祖とよばれる。本名は穎川庸徳(つねのり)といい、号の穎川はこの本姓に由来する。祖先は明(みん)末の動乱を避けて帰化した中国人と伝え、奥田姓は養子先の姓。彼は京都五条坂大黒町の質商丸屋に養子に入って家業を継ぐかたわら、作陶に進んだ文人陶工であった。ときに30歳前後のことと推測される。窯は建仁寺(けんにんじ)にあり、この寺に寄寓(きぐう)して作陶したと江戸末の画師田能村竹田(たのむらちくでん)は『竹田荘師画録』に記している。それを裏づけるように同寺には三彩(どこう)、その塔頭(たっちゅう)大中院には染付水指(そめつけみずさし)、赤絵火入(ひいれ)などの磁器の製品が所蔵されている。穎川がどこから磁器の製法を学んだか不詳であるが、この時期は各地で有田(ありた)の磁器窯が移植されているところから、その動向をいち早く先取りしたといえよう。ただ伊万里(いまり)焼とは異なり、江戸後期の趣味人の間で人気の高い、中国明末期の古染付、呉須(ごす)赤絵をおもに写したのは、やはり京都ならではの作風の選択といえよう。[矢部良明]

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世界大百科事典内の奥田穎川の言及

【京焼】より

…初期の京焼は,これら仁清の御室焼や古清水,乾山の雅陶などによって特徴づけられ,瀟洒(しようしや)な造形感覚,典雅な絵付や意匠によって最初の黄金期をむかえた。 その後,製陶の中心は東山山麓の清水,五条坂地域へ移り,19世紀初頭の文化・文政期には,奥田穎川青木木米らによって本格的な磁器が焼造され,当時流行の中華趣味,煎茶趣味ともあいまって,中国風な青花(染付)磁器や五彩(色絵)磁器が京焼の主流をなしていった。なかでも穎川による呉須赤絵写しや古染付写しなどは,本格的な京焼における磁器焼造の初期の作例として注目される。…

※「奥田穎川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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