委託販売(読み)イタクハンバイ

デジタル大辞泉 「委託販売」の意味・読み・例文・類語

いたく‐はんばい〔ヰタク‐〕【委託販売】

製造業者や商社商品所有権を留保しながら、販売業者に商品の販売を委託する販売方式。販売業者には手数料が支払われる。

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精選版 日本国語大辞典 「委託販売」の意味・読み・例文・類語

いたく‐はんばいヰタク‥【委託販売】

  1. 〘 名詞 〙 販売を他に任せること。また、頼まれて売ること。その報酬として売上金の一定歩合を任せた人や機関に手数料として支払うもの。〔仏和法律字彙(1886)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「委託販売」の意味・わかりやすい解説

委託販売
いたくはんばい

委託売買一種他人から売買の委託を受けた商人が、相手方を求めて自己の名において行う売買取引をさし、とくに取引所の会員、商品取引員が顧客の委託に応じて行う売買をいう。委託販売では、商品の生産者または商人が、他の商人に商品販売を委託し、それに対する報酬として、売上金額の一定歩合(ぶあい)を手数料または口銭(こうせん)(コミッション)として支払う販売方式がとられる。委託する側の生産者または商人は委託販売者、委託された側の商人は受託販売者とよばれ、後者はさらにその受託方法によって、代理商、仲立(なかだち)商(ブローカー)、問屋(といや)に分かれる。受託者が委託者の名において売買にあたるのが代理商、他人間の売買の媒介のみをするのが仲立商、受託者が自己の名において委託者の計算によって販売をするのが問屋である。なかでももっとも典型的な委託販売の例は問屋の場合であり、ついで代理商の場合である。手数料または口銭の歩合は、商品や売上金額によって異なるが、一般には2~3%前後であり、多くても10%を超えるものはまれである。

 委託販売は主として次のような場合に行われる。(1)市場性の不安定な新製品や無名品を販売するには、生産者や取扱い商人が自分で販売するよりも、百貨店や有名小売店の販売能力に依存したほうが安全である。(2)商品取引所や証券取引所における取引は、商品仲買人や証券業者(会員)に委託しなければできない。(3)貿易上では、在外出先機関をもたない業者や新販路を開拓しようとする商人は、一般に海外市場の需給状況や相場の情勢に暗いことから、手数料を払っても委託販売したほうが安全である。この場合とくに委託販売貿易とよばれる。

 委託販売の際、販売価格について、委託販売者が受託販売者に対して最低値段を指示する場合と、市価の成り行きに任せる場合とがある。前者を指値(さしね)、後者を成行(なりゆき)という。また、受託販売者が受託品を時価で処理することをとくに仕切り販売という。

[森本三男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「委託販売」の意味・わかりやすい解説

委託販売
いたくはんばい
consignment sale

商品の製作者,所有者が,問屋,小売業者に期限を定めて販売業務を委託する商いの方式。期限時に残品の返品,売上代金の決済で商いが完了する。出版社が取次会社に委託し,取次会社から書店に配本され,売れ残れば返本できるという日本の出版物の流通制度がその典型的な例である。問屋,小売業者にすれば資金の回転が比較的楽であり,残品在庫の危険が少いが,一方仕入れ,販売の自主性が制限される。また商品を提供する側からいうと,再販売価格の維持,見込み商品の市場開発などが容易であるが,反面,返品・返本率を高くする原因ともなっている。

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百科事典マイペディア 「委託販売」の意味・わかりやすい解説

委託販売【いたくはんばい】

製造業者が製品の販売完了時まで所有権を保持したまま問屋や小売店などに製品の販売を委託すること。定価販売および一定期間経過後の売れ残り製品の返却が前提となる。販売店の代金支払が販売完了時でよく,製造業者は再販売価格の維持が容易であるなどの利点がある反面,ストック品の金融および管理や残品処理等に経費を要する欠点がある。化粧品,出版物の流通に典型的。

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世界大百科事典(旧版)内の委託販売の言及

【委託売買】より

…所定の手数料を支払い,他の業者に委託して行う商品の売買のことであり,販売を委託する〈委託販売〉と,買付けを委託する〈委託買付〉に分けられる。委託売買において委託を受ける業者,すなわち受託者は,おおむね日本における商法上の問屋に該当し,自己の名義で取引を行うが,取引から生ずる損益はあくまでも委託者に帰属するのが通例である。…

【雑誌】より

… 日本における営利事業としての出版にとって,雑誌は格別に重要な比重が置かれてきた。大正年間から昭和初年にかけて,出版物を全国統一価格(定価)で売って個別の値引きを禁ずるのとひきかえに,売残りは出版元が引き取るという委託販売制(返品制)が採用されてゆくうえで,雑誌はこの商慣行が確立するためのかなめとなった。単行本では,1人の人間は1冊しか買わないが,雑誌は同じ読者が繰り返して購買者となる。…

※「委託販売」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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