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子どもの肥満(単純性肥満) こどものひまんたんじゅんせいひまんObesity in Childhood

家庭医学館の解説

こどものひまんたんじゅんせいひまん【子どもの肥満(単純性肥満) Obesity in Childhood】

◎食べすぎと運動不足に注意
[どんな病気か]
[原因]
[検査と診断]
◎専門外来での治療が望ましい
[治療]

[どんな病気か]
 肥満は、からだの脂肪組織が必要以上に増えた状態です。
 肥満は、ホルモン異常症、脳腫瘍(のうしゅよう)、先天異常などの病気でおこる症候性肥満(しょうこうせいひまん)と、過食(かしょく)や運動不足が原因で、肥満以外には格別、症状のない単純性肥満(たんじゅんせいひまん)とに分けられます。
 脂質の多い西洋型の食生活の普及、外食産業の隆盛、日常生活における身体活動の減少、ストレスの増加と生活リズムの乱れなど、社会環境や生活スタイルの変化にともなって、近年、子どもの単純性肥満が増えてきました。
 子どもの肥満は、40~80%の確率で成人の肥満へつながるといわれ、将来、高血圧症、心臓や肺機能の低下、高脂血症(こうしけっしょう)、脂肪肝(しぼうかん)、インスリン非依存型糖尿病(ひいぞんがたとうにょうびょう)などの生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう)(成人病)をおこす危険をはらんでいます。
 また、学校での「からかい」や「いじめ」の対象になりやすく、学業成績、友人関係、本人の性格などにも悪影響をおよぼすといった問題も含んでいます。

[原因]
 消費するよりも摂取するエネルギーが多いと、余分な栄養素の大半は中性脂肪(ちゅうせいしぼう)に変わり、脂肪組織に蓄えられ単純性肥満をまねきます。
 また、運動不足などのために消費するエネルギーが少なくても、余った栄養素が中性脂肪に変えられて脂肪組織が蓄えられるので肥満となります。
 単純性肥満の発生には、太りやすい遺伝的な素因も関係するようです。母親が肥満していると約60%、父親が肥満していると約40%、両親が肥満の場合は約80%の確率で、子どもが肥満になると報告されています。

[検査と診断]
 肥満かどうかは、からだの中に占める脂肪の割合で決まりますが、体脂肪(たいしぼう)の量を正確に測るのは簡単ではないので、ふつう、カウプ指数(しすう)、肥満度で判定します。
●カウプ指数=体重(g)÷〔身長(cm)の2乗〕×10
 この数式の答えが、14~18であれば正常な体型といえますが、20を超えると肥満という判定になります。
 カウプ指数は、乳幼児の肥満の判定に用いられますが、BMI(ボディ・マス・インデックス)として年長児や成人の肥満程度の評価にも使用され、その場合、25~30は肥満、30以上は高度肥満という判定になります。
●肥満度=〔実測体重(kg)-標準体重(kg)〕÷標準体重(kg)×100
 肥満度は、実際の体重が標準体重からどの程度離れているかをパーセントで表わしたもので、学童以上の子どもの体型の判定によく用いられます。肥満だけではなく、やせ(「子どものやせ(るいそう)」)の判定にも用いられます。
 肥満度が、20~29%は軽度肥満で、着衣では目立ちませんが、裸になると太っているという印象になります。
 30~49%は中等度肥満で、着衣でも太っていることがわかりますが、運動に差し支えるほどではありません。
 50%を超えると高度肥満で、一見して太りすぎが明らかで、動くのが大儀そうにみえます。
 学童期の肥満を調べると、5~10%が肥満傾向という結果になります。

[治療]
 太っていても、身長、体重がほぼ成長曲線に沿って増加していて、肥満の程度が30%未満であれば、食事中の炭水化物、たんぱく質、脂質のバランスに注意しながら、体重の推移を見守ります。このタイプの子どもは、からだをよく動かし、情緒も安定していることが多いようです。
 一方、体重の増加が成長曲線を大きく上回っている場合は、肥満の程度が強くなりやすく、糖尿病などの合併症をおこしやすいので治療が必要です。このタイプの子どもは、からだをあまり動かさず、心理的にも不安定なことが多くみられます。
 肥満の程度の評価、合併症の検査、食事療法や運動療法の指導などを行なう専門外来を開設している医療機関も増えていますので、ここを受診するのが理想です。肥満の治療は、民間療法や自己流のダイエットに頼るのではなく、医師、栄養士、心理専門家などが協力するチーム治療が望ましいのです。
 合併症があるのに治療の必要性への認識が浅く、治療が進まないときには、治療への動機づけのための教育入院や勉強会への参加も必要になります。
●食事療法
 まず、食事記録をつけて、これまでの食事内容や食生活を見直します。肥満のある子どもは、糖質・脂質の過食、まとめ食い、早食い、夜食の習慣などの傾向があります。
 効果的な食事療法を長続きさせるには、子どもだけにがまんを強いるのではなく、家族全員が生活習慣を改めることが必要です。
 体重の減少だけに注意を向けていると、摂食障害(せっしょくしょうがい)(「摂食障害」)などの心因性(しんいんせい)の病気を誘発したりします。食事療法は、肥満の改善とともに、子どもの正常な成長・発達をうながす、むりのない内容でなければなりません。
 軽度の肥満であれば、現在の体重を維持すれば、身長が伸びるのにしたがって肥満度は減少します。
 肥満度を10%程度に抑えることを目標に、摂取カロリーを同年代の子どもの所要量の65~80%にします。栄養素のバランスは、糖質50、たんぱく質20、脂質30の割合にします。
 エネルギーの高い食品は控え、空腹感を感じにくい食事を工夫します。
 献立は、好みに合わせ、ボリュームをもたせますが、薄味にし、よくかんで食べるようにうながしましょう。
●運動療法
 運動は、消費エネルギーを増やしてからだについている脂肪を減少させるだけではなく、血液中の脂肪も減少させ、高脂血症も改善します。また、心臓や呼吸器の機能を高め、からだを動かすのが楽になります。
 一般には、酸素を体内に取り入れながら行なう中程度の全身運動がよいとされています。速歩、ジョギング、サイクリング、水泳などを15~60分程度、毎日行なうといいでしょう。
 肥満児の多くは、からだを動かすのが苦手で、スポーツも嫌いなようです。苦手な運動は避けて、からだ全体を使い、ゲーム性があって、動きの楽しい運動を選ぶのが長続きのコツです。
 家事や買い物の手伝い、電車やバスを使わずに歩くなど、こまめにからだを動かす習慣を身につけさせます。
 肥満が高度であったり、合併症がある場合は、運動を始める前に、血圧、心電図、肺機能、骨・関節などを医師にチェックしてもらいましょう。

出典|小学館家庭医学館について | 情報

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