日本大百科全書(ニッポニカ) 「学校運営協議会」の意味・わかりやすい解説
学校運営協議会
がっこううんえいきょうぎかい
school council
保護者や地域住民などの意向を学校運営に反映させる学校内の協議会。協議会の前身的なものとして、2000年(平成12)1月の学校教育法の改正により、学校評議員制度が導入された。学校の計画や運営に評議員の意見を反映させて、特色ある学校づくりを目ざしていた。
2004年3月、文部科学省の中央教育審議会(中教審)から「今後の学校の管理運営の在り方について」が答申され、ここには「保護者や地域住民が一定の権限を持って運営に参画する新しいタイプの公立学校」(地域運営学校)の設置が勧告されていた。そうした学校運営を協議する制度として、学校運営協議会が位置づけられていた。その後、同年9月に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が改正され、中教審答申の骨子を生かした形で、学校運営協議会の設置が法的に保障された。その結果、保護者や地域住民の学校運営への参画が制度化されることになった。学校評議員制度は意見の具申にとどまっていたが、学校運営協議会は学校運営に一定の権限と責任をもつところに特色がある。
2005年8月の文部科学省の調査によれば、学校評議員制度を導入している割合は、小学校84%、中学の85%、高校91%に達する。したがって、学校運営協議会についても、今後はほぼすべての学校で設置されると思われる。
学校運営協議会は、イギリス系の学校文化を継承する社会で多く試みられている。ニュージーランドでは、協議会は校長任命権や予算権などをもつ最高の意思決定機関であり、保護者などが委員の過半数を占め、議長は学校関係者以外から選ぶ、などの規定がみられる。また韓国でも、保護者が委員を選出する制度がとられ、校則やカリキュラムなどを協議会が決定している。日本の場合、校長が教育委員会に推薦した委員が任命されるなど、学校運営協議会は校長の諮問委員会的な性格が強い。それだけに、協議会本来の機能を果たしていない印象を受ける。
[深谷昌志]