14世紀中ごろ,鎌倉末期から室町前期に活躍し,宅磨派の最後をかざった絵仏師。生没年不詳。醍醐寺などに遺品をのこす長賀の子とも伝えるが,その画業等はあまり詳らかではない。応永2年(1395)東福寺性海霊見の賛の《柿本人麻呂像》(常盤山文庫)に〈栄賀〉の印があり,また《十六羅漢像》(藤田美術館),《山越阿弥陀図》(出光美術館)には〈託磨栄賀〉の落款があるほか,《釈迦三尊十六羅漢》(頂妙寺)などにその画業の一端がのこる。印章,落款を付すことはそれまでの絵仏師にはないことであり,新たな作家意識の萌芽がみとめられることは見逃せない。しかし伝統的作風とともに清新な新様式を意欲的に吸収しようとした初期宅磨派遺品にくらべ,同じく新来の宋元画羅漢図等を写しながら,和様化した定型的表現が目だつところに,宅磨派最末期の絵仏師栄賀の作風がうかがえよう。
執筆者:田口 栄一
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