宇美(読み)うみ

精選版 日本国語大辞典 「宇美」の意味・読み・例文・類語

うみ【宇美】

  1. 福岡県北西部の地名神功皇后新羅(しらぎ)遠征の時、誉田別命(ほむたわけのみこと)(=応神天皇)を生みおとしたのが地名の起こりという。宇美八幡宮がある。宇瀰。芋湄。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇美」の意味・わかりやすい解説

宇美(町)
うみ

福岡県中西部、糟屋郡(かすやぐん)にある町。1920年(大正9)町制施行。東部は三郡(さんぐん)山地南北に続き、中央部の宇美川流域には小丘陵が起伏し、JR香椎線(かしいせん)が通じる。宇美八幡宮(はちまんぐう)の門前町として発達、明治末期から粕屋炭田南部の炭鉱町となった。しかし、1963年(昭和38)ごろまでに三菱(みつびし)勝田をはじめとする炭鉱はすべて閉山し、かわって、早見若草などの工業団地が造成され、福岡刑務所も移転して、産炭地域振興事業が進行している。また、福岡市に近く、そのベッドタウンとなっている。三郡山地に属する三郡山、宝満(ほうまん)山などは太宰府(だざいふ)県立自然公園に指定され、行楽客が多い。宇美八幡宮は応神(おうじん)天皇誕生の地として知られ、安産の神として信仰が厚い。境内には湯蓋の森(ゆぶたのもり)、衣掛の森(きぬかけのもり)と称する2本の大クスがあり、国指定天然記念物になっている。また四王寺山(しおうじやま)にある特別史跡大野城跡も有名。面積30.21平方キロメートル、人口3万7671(2020)。

[石黒正紀]


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日本歴史地名大系 「宇美」の解説

宇美
うみ

神功皇后が応神天皇を産んだとされる地名。「魏志」東夷伝倭人条にみえる「不弥国」を同地にあてる説が新井白石(古史通或問)・本居宣長(馭戎慨言)以来有力である。「釈日本紀」所引の「筑紫風土記」逸文によると、神功皇后が新羅征討軍の指揮をしていたときに陣痛が始まったので、二つの石を腰に挿みつけ出産を遅らせて出陣し、勝利したのち応神天皇を産んだとあり、その石がある所を「子饗の原」、出産した所を「芋野」というとする。

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改訂新版 世界大百科事典 「宇美」の意味・わかりやすい解説

宇美[町] (うみ)

福岡県中央部,糟屋郡の町。人口3万8592(2010)。西は福岡市に接する。東部は三郡山地に属する山地で,北西部は多々良川支流の宇美川沿いに低地が広がる。明治中期に炭鉱が開発され,粕屋炭田南部の大炭鉱町として発展。1963年に全炭鉱が閉山したが,その後,福岡刑務所の誘致,さらに町中央部に工業団地を造成し企業を誘致するなど産炭地振興策が進行している。福岡市に隣接していることから,近年は分譲住宅地開発も進められ,ベッドタウンとしての性格を強めている。JR香椎線が通る。神功皇后が応神天皇を〈産んだ〉地と伝えられる宇美八幡宮があり,安産の神として信仰され,町名の起源ともなっている。
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百科事典マイペディア 「宇美」の意味・わかりやすい解説

宇美[町]【うみ】

福岡県中部,粕屋郡の町。粕屋炭田南部の旧炭鉱町で,勝田炭鉱など大小炭鉱があったが,現在は全部閉山。香椎(かしい)線が通じる。宇美八幡宮がある。太宰府市にまたがり,大野(おおや)城跡(特別史跡)などがある。30.21km2。3万8592人(2010)。

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