岐阜県南西部、安八郡にある町。1955年(昭和30)名森(なもり)、結(むすぶ)、牧(まき)の3村が合併して安八村となり、1960年町制施行。『日本書紀』天武(てんむ)紀には安八磨郡(あはちまのこおり)とあり、『和名抄(わみょうしょう)』には安八郡とある。海抜約7メートル以下の平坦(へいたん)地で、県下の穀倉地帯の一部であるが、繊維産業の盛んな大垣市や愛知県の一宮市に近いこともあり、織物・撚糸・縫製などの製造業も多い。1976年9月12日には、台風17号による長良(ながら)川の氾濫(はんらん)で堤防が決壊し、大きな被害を受けた。面積18.16平方キロメートル、人口1万4355(2020)。
[上島正徳]
『『安八町史 通史編』(1975・安八町)』
岐阜県南西部,安八郡の町。人口1万5271(2010)。町の東西を長良川,揖斐(いび)川が流れ,三角州が町全域を占める。古くから水害に悩まされたが,住民は輪中堤防を築いて対処し,町域内には中小の輪中が形成され,集落は網の目状に流れる河川の自然堤防上に散在する。1976年長良川本堤防決壊により大災害を被る。低平な農地が広がる古くからの穀倉地帯であるが,東海道新幹線岐阜羽島駅と,名神高速道路岐阜羽島インターチェンジに近く,交通の便に恵まれるため大企業の工場誘致に成功,弱電,薬品,繊維を中心に工業化が進んでいる。農業は兼業化が著しく,都市近郊型農業が営まれる。大垣,羽島などの近隣都市への通勤者も多い。
執筆者:上田 雅子
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