日本大百科全書(ニッポニカ) 「宗淵」の意味・わかりやすい解説
宗淵
そうえん
生没年不詳。室町時代後期の画僧。字(あざな)は如水(じょすい)。宗淵は諱(いみな)である。相模の人。鎌倉の円覚寺に入り、蔵主にのぼったが、周防に下り雪舟について絵を学んだ。1495年(明応4)に相模に帰る際に、雪舟に求め与えられたのが有名な『破墨山水図』(国宝。東京国立博物館蔵)である。その賛が多くの京都の五山僧によって書かれていることから、相模に帰らずに京都に留まったとも、帰郷後再び上京したとも考えられる。晩年の活躍の場は京都で、五山僧蘭坡景茝(らんぱけいし)に詩を学んでもいる。円覚寺派から大徳寺派に変わったとの説もあるが、まだ明確ではない。現存する作品数は多くはないが、そのなかには山水画、花鳥画、人物画を含んでいる。墨色や彩色を抑えた穏やかで詩情を感じさせるものが多い。この作風は、雪舟の影響を強く感じさせるものではないので、雪舟だけではなく中国の牧谿(もっけい)や梁楷(りょうかい)などの作品から学んで完成させたものと考えるべきであろう。
[影山純夫]