保険事故の発生によって支払われる保険金の額が、あらかじめ契約上確定している保険。保険事故の対象となる人体には本来保険価額はありえないということから、生命保険は定額保険の典型的なものである。保険事故によって生じた損害に対し、その損害の程度に応じて保険金が支払われる損害保険に対立する保険概念である。日本の保険法では、生命保険契約は「保険契約のうち、保険者が人の生存又は死亡に関し一定の保険給付を行うことを約するもの」と定めている(保険法2条8号)。定額保険には、生命保険のほかに、人の傷害や疾病のときに一定額の保険金を支払う傷害疾病定額保険契約がある(同法2条9号)。傷害疾病保険は、傷害による入院や死亡などのときに保険金を支払う傷害保険と、疾病による入院や死亡などのときに保険金を支払う疾病保険に大別される。生命保険と傷害疾病保険は、定額保険で人の死亡に関して保険金が支払われるという点で共通している。しかし、傷害疾病保険は死亡の原因を傷害や疾病に限定しているのに対し生命保険ではこのような限定はない。
[金子卓治・坂口光男]
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