宝山寺(読み)ほうざんじ

精選版 日本国語大辞典 「宝山寺」の意味・読み・例文・類語

ほうざん‐じ【宝山寺】

  1. 奈良県生駒市門前町にある真言律宗大本山。山号は生駒山また都史陀山役小角(えんのおづの)が開いた修験道の霊場に延宝六年(一六七八)宝山湛海が入山、堂宇を建立して大聖無動寺と称したが、のち現名に改称。大聖歓喜天をまつる聖天堂は参詣人が多い。生駒聖天

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日本歴史地名大系 「宝山寺」の解説

宝山寺
ほうざんじ

[現在地名]生駒市門前町

生駒山の東側中腹にあり、生駒山と号し、真言律宗。正式には都史陀山大聖無動だいしようむどう寺という。延宝六年(一六七八)宝山湛海の開山。本尊は不動明王。本尊よりも「聖天さん」とよぶ大聖歓喜自在天の信仰が強い。もとは塩基性安山岩の瘤状突起と般若はんにや窟と称する洞穴にみられる巨石信仰ないし陰陽を象徴したものに対する信仰の場で、役小角・空海修行の地ともいわれる。生駒山地は滝・岩場が多く、古く葛城修験の行場であり(諸山縁起)、当寺の前身寺院の存在も考えられる。般若窟頂上禁足地に鎌倉時代の造立とみられる宝瓶塔があり、この山の東側中腹に弘安五年(一二八二)の十三重石塔がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宝山寺」の意味・わかりやすい解説

宝山寺(奈良県)
ほうざんじ

奈良県生駒(いこま)市門前町にある真言(しんごん)律宗の寺。生駒山と号するが、正式には都史陀山大聖無動寺(としださんだいしょうむどうじ)という。本尊は不動明王であるが、聖天堂の歓喜天(かんぎてん)への信仰が厚く「生駒聖天」の通称で親しまれている。1678年(延宝6)に宝山湛海(たんかい)が開創。当寺のある生駒山中腹はもともと葛城修験(かつらぎしゅげん)の行場、霊場で、境内および周辺には、般若窟(はんにゃくつ)などの巨岩信仰、陰陽石信仰の行場もあり、鎌倉期造立の十三重石塔や宝瓶塔も残されている。湛海は、般若窟に弥勒菩薩(みろくぼさつ)を安置し、1686年(貞享3)には聖天堂を建立するなどして寺観を整備した。1699年(元禄12)東山(ひがしやま)天皇皇子誕生のおりに祈願所となり、以後勅願寺とされるようになった。本尊不動明王像(湛海作)を中尊とする木造五大明王像、絹本着色弥勒菩薩像(鎌倉期作)などの仏画3点、1882年(明治15)建立の洋風建築「獅子閣(ししかく)」が国重要文化財に指定されている。正月三が日は「初聖天さん」といって、参詣(さんけい)者でにぎわう。

[水谷 類]


宝山寺(中国)
ほうざんじ

中国、河南(かなん/ホーナン)省彰徳の西、宝山にある寺。石窟(せっくつ)で有名である。546年(東魏(ぎ)の武定4)地論(じろん)宗祖光統律師の高弟道憑(どうひょう)が開削した石窟寺院で、のちに霊泉寺(れいせんじ)と称した。石窟は南北2洞あり、南の大留窟(だいりゅうくつ)(硃砂(しゅさ)洞)は道憑の開削で、東魏様式の釈迦(しゃか)・弥陀(みだ)・弥勒(みろく)の三尊像がある。北の大住窟(響堂(きょうどう)洞)は、弟子の霊裕(れいゆう)が北周の武帝の排仏ののち、589年(隋(ずい)の開皇9)新たに釈迦三尊像を開削したものである。両窟の名は、霊裕が那羅延天(ならえんてん)の金剛性力による正法留住を祈願したものといい、窟内には護法の諸天善神を刻し、『法華経(ほけきょう)』寿量品(じゅりょうぼん)、『大集経(だいじっきょう)』月蔵分法滅尽品、『涅槃経(ねはんぎょう)』の雪山童子捨身求法無常偈(せっさんどうじしゃしんぐほうむじょうげ)の文などを刻む。

[里道徳雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宝山寺」の意味・わかりやすい解説

宝山寺
ほうざんじ

奈良県生駒市の生駒山にある真言律宗の寺。山号は生駒山。通称,生駒の聖天 (しょうてん) 。役小角 (えんのおづぬ) が修行した霊地と伝えられ,延宝6 (1678) 年宝山湛海が堂塔を造営。本堂に不動明王,聖天堂に大聖歓喜天を祀る。

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改訂新版 世界大百科事典 「宝山寺」の意味・わかりやすい解説

宝山寺 (ほうざんじ)

生駒聖天(いこましょうてん)

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デジタル大辞泉プラス 「宝山寺」の解説

宝山寺

奈良県生駒市にある寺院。真言律宗大本山。本尊は不動明王。生駒山山腹に位置する。「生駒聖天(しょうてん)」「生駒の聖天さん」などとも呼ばれる。

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世界大百科事典(旧版)内の宝山寺の言及

【生駒聖天】より

…生駒山宝山寺。奈良県生駒市にある真言律宗の大本山。…

【生駒山】より

…山頂から大阪平野や奈良盆地の眺望がきき,古くから戦略的に重要であった。生駒山の東腹にある宝山寺(生駒聖天)は〈生駒の聖天さん〉として大阪商人の信仰を集め,門前町が発達した。1918年に日本最初のケーブルカーが東麓から宝山寺まで開通し,29年に山頂まで延長されたため従来の参詣道はさびれた。…

※「宝山寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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