湛海(読み)タンカイ

デジタル大辞泉 「湛海」の意味・読み・例文・類語

たんかい【湛海】

[1629~1716]江戸前期の真言宗の僧・仏師伊勢の人。諸国を遍歴後、生駒山いこまやま入山し、宝山寺を開いた。五大明王像・不動明王像など激しい忿怒ふんぬ像を刻んだ。

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精選版 日本国語大辞典 「湛海」の意味・読み・例文・類語

たんかい【湛海】

  1. [ 一 ] 謡曲。四番目物。廃曲作者不詳。長谷部湛海は、しゅうと鬼一法眼(ほうげん)の頼みによって、法眼秘蔵の兵法の一巻を盗んだ牛若丸を討とうとするが、かえって討たれてしまう。
  2. [ 二 ] 江戸時代の真言宗の僧。彫刻家。字(あざな)は宝山。如来房と呼ばれる。伊勢国の人。厳しい修行ののち四五歳のときに菩薩大戒を受け、延宝年間(一六七三‐八一)大和国生駒山に宝山寺を開いた。写実的で力感に富む「五大明王像」「不動明王像」などの作がある。寛永六~正徳六年(一六二九‐一七一六

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「湛海」の意味・わかりやすい解説

湛海
たんかい
(1629―1716)

江戸前期の修行僧彫刻家。伊勢(いせ)(三重県)の人。姓は山田、宝山律師とも称される。18歳で出家し、厳しい修行を続けながら諸国を回ったのち、大和(やまと)(奈良県)生駒(いこま)山に役行者(えんのぎょうじゃ)の足跡を慕って入山し、般若窟(はんにゃくつ)で苦行ののち、1678年(延宝6)宝山寺を中興開山した。若年より造仏を志し、弟子隆慶(1659―1732)とともに、当時の沈滞しきった専門仏師たちとはまったく異なった、熱烈な信仰から生まれる激しい気迫を感じさせる作品を残している。とくに不動像のような忿怒形(ふんぬぎょう)の作品が多く、宝山寺の五大明王、不動五尊像、法隆寺西円(さいえん)堂および唐招提(とうしょうだい)寺の不動明王像などが有名である。

[佐藤昭夫 2017年9月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「湛海」の意味・わかりやすい解説

湛海 (たんかい)
生没年:1629-1716(寛永6-享保1)

江戸初期の僧。彫刻をよくした。姓は山田。宝山律師とも称される。伊勢国に生まれ,18歳で出家,きびしい修行を続けながら諸国を巡り,のち役行者(えんのぎようじや)の足跡を慕って大和生駒山に入山,般若窟で苦行を続け,1678年(延宝6)同山中腹に宝山寺を中興した。彫刻家としては当時の沈滞しきった専門仏師たちとまったく異なり,熱烈な苦行と信仰から生まれる激しい気魄を感じさせ,とくに不動像のような忿怒(ふんぬ)形の作品が多く,宝山寺,法隆寺西円堂,唐招提寺の不動明王像などが名高い。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「湛海」の解説

湛海(2) たんかい

1629-1716 江戸時代前期-中期の僧。
寛永6年2月1日生まれ。真言律宗。江戸永代寺や高野山(こうやさん)でまなぶ。のち大和(奈良県)生駒(いこま)山で修験の苦行をおこない,延宝6年宝山寺をひらく。仏像の彫刻でも知られ,同寺の五大明王像などをつくった。正徳(しょうとく)6年1月16日死去。88歳。伊勢(三重県)出身。俗姓は山田。通称は宝山律師。

湛海(1) たんかい

?-? 鎌倉時代の僧。
奈良で戒律をまなび,京都泉涌寺(せんにゅうじ)の俊芿(しゅんじょう)に師事。嘉禎(かてい)3年(1237)宋(そう)(中国)にわたるが,白蓮教寺の仏舎利をえられず,経論数千巻,楊柳観音像などをたずさえて帰国。のちふたたび入宋。白蓮教寺の復興につくし仏舎利をあたえられ,泉涌寺におさめた。字(あざな)は聞陽。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湛海」の意味・わかりやすい解説

湛海
たんかい

[生]寛永6(1629).2.1. 伊勢
[没]正徳6(1716).1.
江戸時代初期の律僧,仏像彫刻の名匠。宝山湛海律師。 18歳で剃髪,諸国遍歴ののち奈良,生駒山に宝山寺を開く。不動明王像を中心に力強い信仰心に基づいた作風の造仏を行なった。宝山寺『五大明王像』 (1701) ,同『不動五尊像』 (09) ,唐招提寺『不動明王坐像』などの遺作がある。

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367日誕生日大事典 「湛海」の解説

湛海 (たんかい)

生年月日:1629年2月1日
江戸時代前期;中期の修験僧
1716年没

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世界大百科事典(旧版)内の湛海の言及

【生駒聖天】より

…生駒山の中腹火丘の突起した岩峰の直下にある。役行者開基,弘法大師修行の所と伝えるが,江戸時代1678‐79年(延宝6‐7)湛海(たんかい)律師が入山するに及んで一大発展をみた。湛海は字名を宝山と号し,現,三重県津市の出身。…

※「湛海」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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