生駒山地(読み)イコマサンチ

デジタル大辞泉 「生駒山地」の意味・読み・例文・類語

いこま‐さんち【生駒山地】

大阪府奈良県の境にある山地南北約30キロメートル、東西約5キロメートル。標高300~400メートルの比較的ゆるやかな山が連なり、南の金剛山地に続く。主峰生駒山大阪平野側の西斜面は急傾斜奈良盆地側の東斜面はゆるやかな傾斜になっている。金剛生駒紀泉きせん国定公園に属する。かつては、河内かわち国と大和やまと国の国境だった。

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日本歴史地名大系 「生駒山地」の解説

生駒山地
いこまさんち

大阪平野の東にあって大阪府と奈良県・京都府との境界をなし、北の交野かたの(交野市)から南の大和川まで約二五キロにわたって南北方向に延びる山地。北に男山おとこやま丘陵、北西に枚方ひらかた丘陵・交野台地、東に矢田やた丘陵・西の京にしのきよう丘陵が広がる。東西幅五―六キロのこの狭長な山地の分水界は西に偏り、大阪平野に面する西斜面は急峻で直線状の山麓線を有するが、奈良盆地側の東斜面は緩傾斜で生駒川・竜田たつた川の谷を隔てて矢田丘陵・西の京丘陵へ移行する。山地北部は標高約三〇〇メートルの交野山付近から北の淀川に面する男山丘陵まで山地・丘陵が連続するので、この男山丘陵まで生駒山地に含める場合もある。山地の主峰は生駒山(六四二・三メートル、東大阪市と奈良県生駒市の境)であるが、ほかに飯盛いいもり(三一四・三メートル、四條畷市と大東市の境)高安たかやす(四八八メートル、八尾市と奈良県生駒郡平群町の境)信貴しぎ(四三七メートル、平群町)高尾たかお(二七七・八メートル、柏原市)などがよく知られた山である。山地の地形の特色は山頂における小起伏平坦面の存在で、主峰部の生駒山上遊園地(標高約六〇〇メートル)、北の竜間たつま(約三〇〇メートル)・交野山面(約三〇〇メートル)、南の信貴山面(約四〇〇メートル)の四つの平坦面であるが、最近は土砂採取やゴルフ場造成により改変された場所が多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「生駒山地」の意味・わかりやすい解説

生駒山地
いこまさんち

奈良県と大阪府との境界を南北に走る狭長な山地。南北約35キロメートル、東西約5キロメートル。主峰は生駒山(642メートル)、北端は男山(おとこやま)丘陵、南端は大和(やまと)川渓谷で、さらに渓谷を越えて二上(にじょう)旧火山群を含む金剛(こんごう)山地が続き、この山地とともに金剛生駒紀泉国定公園に指定されている。地質大部分が花崗(かこう)岩で、成因は従来、地塁山地(傾動地塊)とされてきたが、近年は褶曲(しゅうきょく)山地説が有力となっている。大阪平野に臨む西斜面は急傾斜の断層崖(がい)で、樹木や藪(やぶ)で覆われ、傾斜変換線に沿って宅地化がみられる。奈良盆地側の東斜面は緩傾斜で、谷に沿って耕地が開け、住宅地の造成が盛んである。大和川渓谷の南斜面は山麓(さんろく)から山腹にかけてブドウ畑が展開する。主峰生駒山の東山腹には「生駒の聖天(しょうてん)さん」で親しまれる宝山寺(ほうざんじ)があり、山麓にかけて門前町が発達する。山地南部には信貴山(しぎさん)(437メートル)があり、その南東山腹に「信貴山の毘沙門さん(しぎさんのびしゃもんさん)」で知られる朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)がある。大阪―奈良間の横断路として阪奈道路が走り、途中竜間(たつま)峠付近から、生駒山頂を経由する信貴生駒スカイラインが分岐する。また、近畿日本鉄道奈良線が新生駒トンネルを通して大阪―奈良間を結ぶ。

[菊地一郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生駒山地」の意味・わかりやすい解説

生駒山地
いこまさんち

奈良県大阪府の境界に南北に連なる山地。生駒山 (642m) を主峰とし,北端は男山丘陵,南端は大和川の構造谷である。南北約 35km,東西5~6kmの狭長な山地で,北に低く,南に高い。成因は基盤岩の褶曲運動によりできた背斜 (→背斜構造 ) とする説が有力。地質は大部分が花崗岩からなり,生駒山のみ斑糲岩,閃緑岩の残丘としてそびえる。大阪平野に臨む西側は急崖で,東側は緩傾斜をなす。大和川構造谷に面する南斜面は有名な亀の瀬の地すべり地帯。南方の金剛山地和泉山脈とともに金剛生駒紀泉国定公園に属する。

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世界大百科事典(旧版)内の生駒山地の言及

【生駒山】より

…大阪府と奈良県の境をなして南北にのびる生駒山地の主峰。標高642m。…

※「生駒山地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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