宝髻(読み)ほうけい

精選版 日本国語大辞典 「宝髻」の意味・読み・例文・類語

ほう‐けい【宝髻】

〘名〙
仏語仏菩薩天部仏像頭上に結んでいるもとどり。
令制の五位以上の婦人礼服の時の頭上に結ぶ理髪様式。また、髪のもとどりにさす髪飾具もいう。釵子(さいし)平額(ひらびたい)など。
令義解(718)衣服「女王礼服 一位。礼服宝髻」 〔王勃‐臨高台詩〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「宝髻」の意味・読み・例文・類語

ほう‐けい【宝×髻】

仏像で、菩薩ぼさつが頭上に結んでいるもとどり。
奈良時代律令制で五位以上の女子が礼服のときに頭上に結んだ理髪の様式。また、髪のもとどりに挿す金銀珠玉の髪飾りもいう。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「宝髻」の意味・わかりやすい解説

宝髻 (ほうけい)

飛鳥・奈良時代の貴族女性の髪形。隋の衣服令にならって,日本の上層階級は,大陸の服装をほとんどそのまま模倣することとなった。隋・唐の服装,結髪,化粧法は,薬師寺の吉祥天女像,正倉院の樹下美人図,唐の人物俑(よう)ほか当時の仏画,仏像などによって想像することができる。この唐の俑にみられる結髪には高髻こうけい)と垂鬟(すいかん)の2種類がある。貴族女性の結う高髻は儀式などの礼装に結われるもので,髻のまわりは金玉の鈿(でん),釵(さい),歩揺ほよう)などによって美しく飾られた。この状態を宝髻と呼んだ。李白の詩に〈山花挿宝髻〉とあり,韋荘の怨王孫は〈宝髻花簇(むらがる)〉とその花で飾った美しさを歌っている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宝髻」の意味・わかりやすい解説

宝髻
ほうけい

奈良時代における髪飾りの一種。大宝令(たいほうりょう)の衣服令の内親王礼服(らいふく)の条に記され、これを『令義解(りょうのぎげ)』では、金玉をもって髪緒を飾るゆえに宝髻というとある。つまり男の礼服に相当するものである。宝石をちりばめた透彫りをした金具に、竜、鳳(ほう)、麒麟(きりん)を立物(たてもの)としたものを髻(もとどり)の上に飾る。平安時代には垂髪の上にこぶのような髷(まげ)をつくり、これに釵子(さいし)をしたものをも宝髻とよんだ。

[遠藤 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宝髻」の意味・わかりやすい解説

宝髻
ほうけい

奈良時代,女性礼服着用の際の唐風の結髪様式 (→義髻 ) 。髪を頭上で束ねた高髻で,U字形をした金属製の束髪ピン釵子 (さいし) を3本挿し,金銀玉を用いた花形の飾りを加えたものをいう。薬師寺蔵『吉祥天立像』の頭部にこの例がみえる。近世には剣 (つるぎ) 形の突起が3本ついた平額 (ひらびたい) と称する髪飾りに継承され,女官が礼装する際に用いられた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「宝髻」の意味・わかりやすい解説

宝髻【ほうけい】

仏像

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

普及版 字通 「宝髻」の読み・字形・画数・意味

【宝髻】ほうけい

礼装の髻。

字通「宝」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の宝髻の言及

【髪形】より

…また,大きくふくらませた一種の垂髪形式など,身分や年齢差が髪形に表れるようになった。これらを高髻(こうけい)または宝髻(ほうけい),頭上二髻(ずじようにけい),垂髪(すいはつ)などの名称で分類している。男性の髪形は,隋の風俗を模して,冠服の制にならい官職にある男性はをかぶることになり,髪を全部引きあげて頭上に髻(もとどり)を結んだ頭上一髻といわれる形に定着する。…

※「宝髻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android