宮刑(読み)キュウケイ(その他表記)gōng xíng

デジタル大辞泉 「宮刑」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐けい【宮刑】

古代中国の五刑の一。死刑に次ぐ重い刑罰で、男子去勢され、女子監房に幽閉された。腐刑。宮。

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精選版 日本国語大辞典 「宮刑」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐けい【宮刑】

  1. 〘 名詞 〙 古代中国の刑の一つ男女とも、生殖能力を奪う刑。一説に、女子は宮中に幽閉されたとも。腐刑。宮。
    1. [初出の実例]「蚕室は男根をきらるる宮刑の者をく処ぞ」(出典:史記抄(1477)一三)
    2. [その他の文献]〔礼記‐文王世子〕

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改訂新版 世界大百科事典 「宮刑」の意味・わかりやすい解説

宮刑 (きゅうけい)
gōng xíng

中国で行われた身体に棄損を与える刑罰(肉刑)の一つ。男性は男根を切断され,女性は宮中に生涯幽閉される。ただ女性にも,腹部打撃を加えて生殖器官を損傷するとの説もある。腐った樹木は果実を結ばないということから,生殖器を除去するこの刑を腐刑ともいう。古くは殷代から施行されていたとされ,《書経》の編名の一つで周の穆王(ぼくおう)時代(前10世紀ごろ)の刑書といわれる〈呂刑〉には,4種の肉刑の中に含まれている。本来,宮刑は姦淫罪に対する刑罰であり,犯罪時に使用した身体の一部に直接害悪を加える反映刑であった。漢代になるとその性格は薄れ,しかも正刑としてではなく死刑に代わる代替刑として採用される。司馬遷が死刑をまぬかれた代りに宮刑に処せられたことは有名である。肉刑はおおむね前漢の文帝期に廃止されるが,宮刑だけはそのまま残り,特に六朝時代,北方異民族が支配した王朝で行われた形跡がある。最終的には隋の開皇初年(6世紀末)に廃止された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宮刑」の意味・わかりやすい解説

宮刑
きゅうけい

中国の古代の五刑(入墨(いれずみ)、鼻を截(き)る、足筋を斬(き)る、死、宮)の一つ。単に宮ともいう。肉刑の一種で、生殖作用を不能にする刑。おもに淫罪(いんざい)に科し、男子は薬をもって去勢し、女子は入精の道を閉ざす。『尚書』舜典(しゅんてん)の五刑の記事が最古といわれ、『孝経(こうきょう)』援神契篇(へん)に「聖人、五行に則(のっと)りて以(も)って五刑を制す」とあるように五行説に基づいて定めたといわれるが、また、ミャオ(苗(びょう))族に始まったものとも伝えられる。

[星 斌夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宮刑」の意味・わかりやすい解説

宮刑
きゅうけい

古代中国の身体刑(肉刑)の一つ。生殖器を切断する刑で,漢代には腐刑とも呼ばれた。宮刑が廃止された代以前は,自宮者(みずから進んで去勢した者)以外の宦官に,宮刑を受けた者があてられた。(→五刑

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普及版 字通 「宮刑」の読み・字形・画数・意味

【宮刑】きゆうけい

去勢の刑。

字通「宮」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の宮刑の言及

【宦官】より

…しかし大勢からいうと,時代が下るにつれて異民族の出身者を宦官にすることは少なくなった。つぎは宮刑によるものである。宮刑は古代の刑罰で,去勢をするものであり,死刑につぐ重刑であるが,しかしこれは隋になって廃止された。…

※「宮刑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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