宮古路薗八(読み)みやこじそのはち

精選版 日本国語大辞典 「宮古路薗八」の意味・読み・例文・類語

みやこじ‐そのはち【宮古路薗八】

  1. [ 一 ] 初世。宮薗節(薗八節とも)の創始者。宮古路豊後掾高弟享保一七一六‐三六末期一流を創始。生没年未詳。
  2. [ 二 ] 二世。宮古路豊後掾および初世薗八の高弟。師の没後二世薗八を襲名宝暦一七五一‐六四)のころ宮薗節を大成明和三年(一七六六宮薗鸞鳳軒(らんぽうけん)改称正本「宮薗花扇子」などを刊行天明五年(一七八五)没。

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改訂新版 世界大百科事典 「宮古路薗八」の意味・わかりやすい解説

宮古路薗八 (みやこじそのはち)

宮古路節の太夫。(1)初世 生没年不詳。宮古路豊後掾の高弟。経歴その他不詳。(2)2世(?-1785(天明5)) 本名木岡光義。平呉と号する。初世の弟子。前名家太夫。初世の没後2世を継いだが,1762年(宝暦12)ころ宮薗豊前と改名,さらに66年(明和3)宮薗鸞鳳軒(らんぽうけん)と改め,宮薗節を創始した。劇場出演はなかったが,当時上方で盛んだった国太夫節(豊後節)の統領的存在であったらしい。美声で作詞・作曲に優れ,多くの作品を書いたが,現在10段が残されている。(3)3世 生没年不詳。2世と同じころ活躍。初世の門弟。前名可(哥)内。1758年(宝暦8)ころ春富士正伝と改名,一時出雲,出雲掾を名のった。71年(明和8)ころ江戸に下り3世を名のったらしい。正伝節(しようでんぶし)というフシが残っている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宮古路薗八」の意味・わかりやすい解説

宮古路薗八(3世)
みやこじそのはち[さんせい]

宮薗節の演奏家。享保~安永年間 (1716~81) 頃の京都の人で,1世宮古路薗八の弟子。初名宮古路哥内。別名可内弁仲。宝暦初年頃,師の節を正しく伝えるという意味で,春富士正伝と改名。正伝節として知られた。江戸に下り,正伝節の普及に努めたが,明和5 (68) 年頃3世宮古路薗八となった。『江戸の絵姿』1曲だけが正伝の作曲したものと推定され,現存する。

宮古路薗八(1世)
みやこじそのはち[いっせい]

宮薗節の演奏家。享保年間 (1716~36) 頃活躍。京都の人で,宮古路豊後掾の弟子。宮薗節の前身,薗八節を創始したと推定される。

宮古路薗八(2世)
みやこじそのはち[にせい]

「宮薗鸞鳳軒(1世)」のページをご覧ください。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「宮古路薗八」の解説

宮古路薗八(初代) みやこじ-そのはち

?-? 江戸時代中期の浄瑠璃(じょうるり)太夫。
宮古路豊後掾(ぶんごのじょう)の高弟。享保(きょうほう)18年(1733)ごろ名古屋で師のワキをつとめた。独立して京都で一流派をたて,弟子の2代薗八(初代宮薗鸞鳳軒(みやぞの-らんぽうけん))が宮薗節(薗八節)として大成した。

宮古路薗八(2代) みやこじ-そのはち

宮薗鸞鳳軒(みやぞの-らんぽうけん)(初代)

宮古路薗八(3代) みやこじ-そのはち

春富士正伝(はるふじ-しょうでん)

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朝日日本歴史人物事典 「宮古路薗八」の解説

宮古路薗八(初代)

生年:生没年不詳
江戸中期の薗八節の太夫。宮古路豊後掾の門弟だが,詳細は不明。劇場出勤記録などもない。わずかに『宮薗花扇子』(1769)の浄瑠璃略系譜に宮薗鸞鳳軒(2代目薗八),春富士正伝(3代目薗八)の師としてその名をとどめている。

(根岸正海)

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世界大百科事典(旧版)内の宮古路薗八の言及

【宮薗節】より

…薗八(そのはち)節ともいう。始祖は初世宮古路(みやこじ)薗八。初世薗八は宮古路豊後掾の上方時代の門弟で,京都の人。…

※「宮古路薗八」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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