富田林(市)(読み)とんだばやし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「富田林(市)」の意味・わかりやすい解説

富田林(市)
とんだばやし

大阪府の南東部にある市。東は金剛山地(こんごうさんち)、西は羽曳野丘陵(はびきのきゅうりょう)で、中央部は石川の段丘である。1950年(昭和25)市制施行。1957年東条(とうじょう)村を編入。市名は中世、富田の芝とよばれる原野を開発したことに由来するという。市域の中央部を南北に近畿日本鉄道長野線、国道170号が、東西に国道309号が走る。また市域西端を南海電気鉄道高野(こうや)線が走る。中心の富田林は1560年(永禄3)に一向宗の道場(のちの興正寺別院(こうしょうじべついん))を中心に開発され、寺内町(じないまち)として発展、また地方商業中心地としても栄えた。繁栄を示す豪壮な家並みが現存し、1997年(平成9)重要伝統的建造物群保存地区に選定された。伝統工業としてガラス細工や簾(すだれ)があり、簾は1996年に国の伝統的工芸品の指定を受けた。そのほか近代工業に織物、家具、機械類の中小規模工場がある。近郊農業としてナス、キュウリなどのハウス栽培やミカン栽培が行われている。羽曳野丘陵は第二次世界大戦後、日本住宅公団(現、都市再生機構)金剛団地をはじめ住宅団地が多く造成された。丘陵の中央部にある宗教法人PL教団は1953年大平和祈念塔などの施設をもつ聖地をつくった。811年(弘仁2)創建の滝谷不動明王寺(たきだにふどうみょうおうじ)、後村上(ごむらかみ)天皇勅願による錦織神社(にしごおりじんじゃ)などの古社寺があり、錦織神社本殿、竜泉寺仁王(におう)門など国指定重要文化財も多い。面積39.72平方キロメートル、人口10万8699(2020)。

[橋本九二男]

『『富田林市史』全5巻(1972~2004・富田林市)』『『富田林寺内町』(1976・富田林市)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android