北海道中央部,上川支庁の南部を占める盆地。北海道中央部に南北に連なる中央低地帯と呼ばれる盆地列の南部にあたる。東部に十勝岳を中心とする火山群,西部に夕張山地がそびえ,北は標高300~400mの火山麓台地で上川盆地と分けられる。盆地南端から流入する空知川が盆地南半を北流し,中央部にある富良野市の西で北部から流れる富良野川を合わせ,夕張山地に横谷をつくる。盆地床は標高170~250mで,南部は夕張山地から流出する河川によって形成された複合扇状地が発達し,畑作地帯となっているが,中央部,北部では扇状地の発達はみられず,低平な水田地帯で,空知川北岸の自然堤防の背後には,かつて富良野原野と呼ばれた低湿地がみられた。
盆地は夏季には比較的高温となるため,1902年ころから水稲の試作が行われるようになり,07年以降各地で私設水利組合が結成され,本格的に稲作が始められた。低湿な富良野原野も大正中ごろには土地改良と河川改修により水田地帯となった。南部の扇状地上にも第2次大戦後開田が行われたが,これらはいずれも小規模で分散的なものであった。空知川の金山ダム(1967完成)により南部の扇状地上を灌漑して大規模な水田地帯に変える計画は,折からの国の減反政策により中断され,造成された水田予定地に畑作物を栽培するという変則的な事態を生じた。
執筆者:奥平 忠志
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北海道中央部に南北に連なる諸盆地の一つ。東西5~6キロメートル、南北30キロメートル、面積130平方キロメートル、標高170~250メートル。東に十勝(とかち)岳火山群、西に夕張(ゆうばり)山地があり、北は十勝岳溶結凝灰岩の丘陵で上川(かみかわ)盆地とくぎられている。盆地床の南部には夕張山地の断層崖下(がいか)に形成された複合扇状地が発達し、畑作地帯となっている。北部は長く空知(そらち)川北岸の自然堤防により排水が妨げられた低湿地であったが、大正期以降の排水工事により美田地帯となった。気温の年較差、日較差は大きく、夏季の高温は水稲、野菜の栽培に適し、河川改修と土地改良は稲作を主産業としたが、金山ダム(かなやまだむ)によって南部の扇状地を水田化する計画は、ダム完成の1967年(昭和42)、水田減反政策がとられたため蹉跌(さてつ)を生じた。
[岡本次郎]
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