寺請制度(読み)てらうけせいど

旺文社日本史事典 三訂版「寺請制度」の解説

寺請制度
てらうけせいど

江戸時代の宗教政策で,キリシタンでないことを檀那寺 (だんなでら) に証明させる制度
宗門改 (しゆうもんあらため) による改宗者の証明に始まる。のち寺請証文檀家であることを証明するため寺院が発行した証文)が一般化し,婚姻・旅行・移転・奉公などの際には村役人発行の手形とともに身分証明書の役割を果たした。各寺院は毎年幕府・諸藩信者名簿を提出したので,これにより寺院は事実上の戸籍事務取扱い機関となり幕藩支配体制に従属した。

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百科事典マイペディア「寺請制度」の解説

寺請制度【てらうけせいど】

江戸時代,個人が寺の檀家でありキリシタンや禁制宗派である不受不施派などの信徒でないことを,檀那寺に証明させた制度。農民の住居移転,奉公,結婚,旅行などの際には,この制度によって檀那寺から発行される寺請証文を必要とした。寺院は,幕府の庶民支配機構の末端の役割を果たした。→宗門人別改帳
→関連項目キリシタン禁制宗門改菩提寺

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世界大百科事典 第2版「寺請制度」の解説

てらうけせいど【寺請制度】

江戸時代に行われた宗門改めにおいて,禁制された宗派であるキリシタンや日蓮宗不受不施派などの信徒でないことを,檀那寺が証明する制度。江戸初期からみられるが,それらは特定の必要に応じて臨時寺僧檀家たることを証明する寺手形様式のものが多かった。たとえば若狭小浜藩の,1635年(寛永12)の五人組の連判手形に〈頼候寺かた〉(檀那寺)に請印をさせるような,宗門人別改帳の先駆様式があらわれてくる。その前提には寺檀関係の一般的成立があった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「寺請制度」の解説

寺請制度
てらうけせいど

寺檀制度

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世界大百科事典内の寺請制度の言及

【寺檀制度】より

…永続的な葬祭の関係を結んだ檀那寺(手次寺)と檀家の結合をもとに,江戸幕府が民衆統制,宗教統制に利用した戸籍制度。寺僧が,その檀家家族個々について,キリシタンや禁制宗派たる日蓮宗不受不施派などの信徒でないことを証明する寺請を行うことによって,身元,身分を証明した(寺請制度)。このことを直接命じた法令はないが,1671年(寛文11)に従来行われていた宗門改めを,人別帳を利用して行うように指令したことにより,宗門人別改帳作成が制度化されて寺檀関係は制度として成立した。…

【宗門改め】より

…宗門改めを寺請けによって行うことについては,神道などより早くから反発があり,岡山藩では神道請けを実施していたし,近世中期以降には神職を寺請けから除外する動きもあらわれた。明治維新期には,こうした動向が表面化し,1871年(明治4)7月氏子調べが命ぜられ,同年に廃止された寺請制度による宗門改めに代えることが企図されたが,全国的に実施するにはいたらなかった。72年の壬申戸籍には檀那寺と氏神が記され,まだ宗門改めの様式を残したが,翌73年のキリスト教禁止高札撤廃とともに中止され,宗門改めは終わった。…

【檀家】より

…公家や武家が家の菩提寺をもったことに始まり,近世初頭に小家族形態の近世的な〈家〉が広範に成立すると,それらの集合菩提寺が生まれ,両者の関係が永続的に固定化して,檀家が一般的に成立した。こうした歴史的状況を背景に,江戸幕府がキリシタン禁制実施の手段として,寺僧をして民衆が檀家であることを証明させる寺請制度を始めたため,すべての民衆がいずれかの寺の檀家とされるにいたった。明治維新後,制度としての檀家は寺請制度の廃止によって失われたが,寺と家との関係としての檀家は,仏教教団の基礎構造であったことと,明治民法による家制度の法制化によって存続し,家制度の廃止された現代でも,寺院の信徒把握の基本形態として続いている。…

※「寺請制度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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