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戦車を攻撃し、その戦闘能力を失わせる火砲。第一次世界大戦時に戦車が初めて戦場に出現して以来、戦車を破壊する火力の研究が続けられている。そのなかの一つに対戦車砲がある。いまは対戦車ミサイル、対戦車攻撃機の発達で対戦車砲の影は薄いが、第二次大戦中は対戦車砲の発達は目覚ましいものがあった。対戦車砲が強力になれば、戦車の装甲も強力になり、果てしないシーソーゲームが続けられる。
対戦車砲の特徴として低伸弾道、高初速があげられる。それは、硬度の大きい弾丸に高い運動エネルギーをもたせるためである。また、弾丸は高熱処理し、さらに滲炭(しんたん)処理した鋼鉄弾やタングステン弾芯(しん)などの徹甲弾が用いられる。砲の口径は初期の37ミリ砲から末期には128ミリ砲までが登場し、かつ戦車や装甲車に搭載された対戦車自走砲がつくられた。徹甲弾に続いて、対戦車榴弾(りゅうだん)や無反動砲が第二次大戦中に開発され、対戦車砲に新たな分野をつくりだした。
[猪口修道]
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