精選版 日本国語大辞典 「尊・貴」の意味・読み・例文・類語
とうと・い たふとい【尊・貴】
〘形口〙 たふと・し 〘形ク〙
※大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)九「帝子の崇(タフト)きこと、出処斯に在す」
② 価値が高い。めでたく良い。立派である。貴重である。
※万葉(8C後)三・三四二「言はむ術(すべ)せむ術知らず極まりて貴(たふとき)ものは酒にしあるらし」
③ 効験があって重んずべきである。高徳である。
とうと‐が・る
〘他ラ五(四)〙
とうと‐げ
〘形動〙
とうと‐さ
〘名〙
たっと・い【尊・貴】
〘形口〙 たっと・し 〘形ク〙 (「たふとし」の変化した語)
① 価値が高い。すぐれた値うちがある。とうとい。
※康頼宝物集(1179頃)中「童子貴に非ず、菩提心の尊き故なり」
※宇治拾遺(1221頃)一二「それにつけても、たっときおぼえはいよいよ増りけり」
たっと‐げ
〘形動〙
たっと‐さ
〘名〙
とうと・む たふとむ【尊・貴】
[1] 〘他マ四〙 =とうとぶ(尊)(一)
※徒然草(1331頃)一二〇「得がたき貨をたふとまず」
[2] 〘他マ上二〙 =とうとぶ(尊)(一)
※観智院本三宝絵(984)中「法をひろめて、よにたうとみらるるをそねみねたみて云く」
たっと・ぶ【尊・貴】
(「たふとぶ」の変化した語)
[1] 〘他バ上二〙 あがめ重んずる。とうとぶ。
※成簣堂本論語抄(1475頃)顔淵「とくをたっとぶる義をこたうるなり」
[2] 〘他バ五(四)〙 (一)に同じ。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)一〇「左は文、右は武也。周は文をたっとぶほどに、左をたっとび」
とうと・ぶ たふとぶ【尊・貴】
[1] 〘他バ上二〙 あがめ敬う。敬って大切に扱う。重んじる。尊重する。たっとぶ。とうとむ。
※書紀(720)用明即位前(図書寮本訓)「天皇、仏の法(みのり)を信(う)けたまひ、神の道を尊(タフトヒ)たまふ」
※観智院本三宝絵(984)下「男女来りをがみてよろこびたうとぶる物おのづからおほかり」
[2] 〘他バ五(四)〙 (一)に同じ。
※大日経義釈延久承保点(1074)「是の龍の中に尚(タフトフ)所の花」
たと・ぶ【尊・貴】
[1] 〘他バ上二〙 =たっとぶ(尊)
※文明本節用集(室町中)「為レ世所レ貴(タトビラル)〔論序〕」
[2] 〘他バ四〙 =たっとぶ(尊)
※文明本節用集(室町中)「礼不レ貴(タトバズ)レ芸〔論語疏〕」
とうと たふと【尊・貴】
※万葉(8C後)六・一〇五〇「あなあはれ 布当(ふたぎ)の原 いと貴(たふと) 大宮所」
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)日光「あらたうと青葉若葉の日の光」
たと・し【尊・貴】
〘形ク〙 =たっとい(尊)
※今鏡(1170)四「神落ちて、御経なども紙の所ばかりは焼けて、文字は残り、御身には露の事もおはしまさざりける、いとたとく、あさましき事ども聞き侍りし」
たっと・む【尊・貴】
〘他マ四〙 (「たふとむ」の変化した語) あがめ重んずる。とうとむ。
※極楽寺殿御消息(13C中)第七六条「おなじ人なりとも、よからんをこそたっとむべけれ」
たっと・し【尊・貴】
〘形ク〙 ⇒たっとい(尊)
とうと・し たふとし【尊・貴】
〘形ク〙 ⇒とうとい(尊)
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