日本大百科全書(ニッポニカ) 「小笠原(村)」の意味・わかりやすい解説
小笠原(村)
おがさわら
東京都小笠原支庁に属する村で、小笠原諸島を範囲とする。小笠原支庁、村役場は父島にある。1876年(明治9)日本の領土として明確になり内務省の直轄となる。1880年に東京府の管轄となり、1886年小笠原島庁を設置、1891年火山列島(硫黄(いおう)列島)、1898年南鳥島をあわせ、1926年(大正15)島庁は小笠原支庁と改称。1931年(昭和6)沖ノ鳥島をあわせ、1940年大村、扇村袋沢村、沖村、北村、硫黄島村の5村が成立。第二次世界大戦時、約7700人の全居住者が内地に引き揚げ、戦後はアメリカ軍政下に置かれた。1968年(昭和43)6月26日日本に復帰し、小笠原村として東京都に帰属、1979年(昭和54)村政施行。亜熱帯海洋性気候の火山列島で、カジキ、ハマダイ、マグロ、ヒメダイなどの漁業、トウモロコシ、トマトなどの野菜、パパイヤ、パッションフルーツなどの熱帯果実、アレカヤシなどの観葉植物の栽培が行われる。また小笠原国立公園に指定(1972)されていることから観光業に依存しているが、本土との交通が東京竹芝―父島二見港間の定期船のみであるため観光客数に限界がある。南硫黄島は原生自然環境保全地域。2011年(平成23)、小笠原諸島はユネスコの世界遺産の自然遺産に登録された。NHK衛星放送が1984年開始、テレビ地上波放送が1996年(平成8)に開始された。面積106.88平方キロメートル、人口2929(2020)。
[沢田 清]