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小鍛冶 こかじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

小鍛冶
こかじ

長唄曲名。天保3 (1832) 年9月,江戸市村座初演。五変化舞踊『姿花後雛形 (すがたのはなのちのひながた) 』内の一曲。作曲は文政4 (21) 年 11月より以前と思われる。作詞2世劇神仙,作曲1世杵屋勝五郎。謡曲『小鍜冶』を歌舞伎的に消化した曲。短い曲ながらよくまとまった上品な曲。『小鍜冶』はこの曲以外に『今様小鍜冶』『新小鍜冶』などがあるが,本曲が最も一般的。

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デジタル大辞泉の解説

こかじ〔こかぢ〕【小鍛冶】

京都の刀工、三条小鍛冶宗近(むねちか)の通称。また、宗近およびその流れをくむ人たちが作った刀の称。→宗近
謡曲五番目物。小鍛冶宗近が御剣奉納の勅を受け、稲荷明神の助けを借りて宝剣小狐丸(こぎつねまる)を打ち上げる。
歌舞伎舞踊化したものの通称長唄が多い。

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世界大百科事典 第2版の解説

こかじ【小鍛冶】

(1)能の曲名。五番目物。作者不明。シテは稲荷明神(いなりみようじん)の使の霊狐(れいこ)。三条小鍛冶宗近(ワキ)は剣を打って奉れとの勅命を受けたが,しかるべき相槌(あいづち)の人がないのに困り,稲荷明神に祈願に出かける。すると気高い童子(前ジテ)が現れて激励の言葉を掛ける。童子は中国と日本の伝説を引いて剣の徳を詳しく物語り(〈クセ・中ノリ地〉),心配なく準備にかかれと言い捨てて消え失せる。宗近が帰宅して用意を整えて待つと,霊狐(後ジテ)が現れて相槌を務め,名剣小狐丸(こぎつねまる)を仕上げる。

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大辞林 第三版の解説

こかじ【小鍛冶】

刀鍛冶のこと。 → 大鍛冶おおかじ
京都の刀匠三条小鍛冶宗近の作った刀。また、その流れをくむ刃物師などの作った刀。
能の一。五番目物。刀を打てと、勅命を受けた小鍛冶宗近は、稲荷明神の助力を得て、名刀小狐丸を打ちあげる。
能の「小鍛冶」を歌舞伎舞踊化したもの。長唄「姿花后雛形すがたのはなのちのひながた」、義太夫「小鍛冶」などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

小鍛冶
こかじ

能の曲目。五番目物、また四番目物にも。五流現行曲。作者不明。名剣の霊験(れいげん)談である。帝(みかど)が霊夢にみた名剣を打たせるため、勅使はそれを三条の小鍛冶宗近(むねちか)(ワキ)に命ずる。相槌(あいづち)を打つ名手のいないことを嘆いた宗近は、氏神である稲荷(いなり)明神に祈誓に出かけると、童子(前シテ)が現れて、古今東西の名剣のいわれを語り、かならず力を貸し与えると約して稲荷山に消える。前シテは老翁(ろうおう)の扮装(ふんそう)でも演じる。宗近は刀工の威儀を整え、鍛冶台を用意し祈念して待つと、稲荷明神(後シテ)が出現して神威をみせ、相槌を打ち、表に小鍛冶宗近、裏に小狐(こぎつね)と作者名を刻み、小狐丸と名づけた名剣が勅使に捧(ささ)げられる。喜多流には、白ずくめの扮装に狐足とよぶ特殊な足使いで演ずる演出がある。ほかにも多様な演出がくふうされており、その舞台の潔さ、小気味よさで人気曲となっている。
 歌舞伎(かぶき)舞踊にも小鍛冶物の系列があり、長唄(ながうた)の『姿花后雛形(すがたのはなのちのひながた)』『誘謂色合槌(うちつれていろにあいづち)(新小鍛冶)』『優曲(ゆうきょく)三人小鍛冶(今様小鍛冶)』、昭和になってからも義太夫(ぎだゆう)節による木村富子作『小鍛冶』が上演されている。[増田正造]

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世界大百科事典内の小鍛冶の言及

【刀鍛冶】より

…刀匠,刀工などともいう。鍛冶(鍛冶屋)はもともと鋳物師らをも含む金属加工者を指し,製鉄に従事するものを大鍛冶というのに対し,刀鍛冶を小鍛冶と称している。古くは,この両者は兼業していたものであろう。…

【三条宗近】より

…生没年不詳。永延(987‐989)のころ京都三条に住したと伝え,三条小鍛冶と呼称された。能の《小鍛冶》で白狐を相槌に太刀を鍛える刀工はこの宗近のことである。…

【職業神】より

…畿内一帯から北陸,東北の南部,四国の東部,江戸では稲荷神をまつる風が濃厚であった。元来火の神ではなく穀霊であり農の神であった稲荷が鍛冶屋の信仰をあつめたことは,謡曲《小鍛冶》の説話に示されている。昔,一乗院が不思議のお告げによって三条小鍛冶宗近に剣を打つように命じた。…

【剣の巻】より

… いわゆる三種の神器にまつわる説話なので大秘事として扱われたものだが,曲節のうえでは特殊な点は見いだしにくい。能《小鍛冶(こかじ)》などの原拠。【横道 万里雄】。…

※「小鍛冶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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