(読み)ギョウ(英語表記)Yáo

デジタル大辞泉 「尭」の意味・読み・例文・類語

ぎょう【尭〔堯〕】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ギョウ(ゲウ)(呉)(漢)
中国古代の伝説上の聖天子の名。「尭舜ぎょうしゅん
[名のり]あき・たか・たかし・のり・よし

ぎょう〔ゲウ〕【尭】

古代中国の伝説上の聖王五帝の一。暦を作り、無為の治をなした。後を継いだしゅんとともに後世理想の天子とされ、その政治は「尭舜の治」と称される。陶唐氏

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「尭」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 8画

(旧字)堯
人名用漢字 12画

[字音] ギョウ(ゲウ)
[字訓] たかい

[説文解字]
[甲骨文]

[字形] 会意
旧字は堯に作り、(ぎよう)+兀(こつ)。〔説文十三下に「高なり」と訓し、また「高なり」という。山の尭高、また石の多いさまを嶢(ぎようかく)という。古帝王の尭は「陶唐氏」と号し、その名号は土器文化と関係があるらしく、尭はその創始者とされたのであろう。燒(焼)は堯に従う。土器を焼成するとき、竈に多くの土器を列することから、堯の字形が生れたものと思われる。段々にして積みあげるので尭高の意となった。本来山の尭高をいう字ではない。

[訓義]
1. 焼竈に土器を積みあげた形。高く積む、たかい。
2. 高くてそろわない。
3. 嶢と通じ、嶢

[古辞書の訓]
〔名義抄〕堯 タカシ・ヨシ 〔字鏡集〕堯 タカシ・アキラカ・ヨシ・サトル・アキラム

[声系]
〔説文〕に堯声として・翹・饒・橈・曉(暁)・僥・嶢・磽・驍・燒・澆・繞など二十七字を収める。その通義を求めると、高く積みあげること、めぐらしたわめること、多く列ねることなどの意があり、それぞれ堯の声義を含むところがある。〔説文〕は部首としてを立てているが、その系列の字はみな堯に従う。

[語系]
堯・ngyは同声。〔説文〕十三下を「土高なり」とするが、土は土器。それを台上に積んで焼成するのである。僥・嶢は堯と同声、磽khe、澆ky、燒siny、曉xyはその声の分化したもの。曉は焼成するときの竈の火の色から名を得たものであろう。

[熟語]
尭尭・尭・尭舜尭天尭風
[下接語]
嗣尭・紹尭・宗尭・大尭・追尭・陶尭・法尭

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「尭」の意味・わかりやすい解説

尭 (ぎょう)
Yáo

中国,古代伝説中の帝王。姓は伊祁(いき),名は放勲,尭は諡(おくりな)。はじめ陶に,のち唐に封建されたので,陶唐氏と称した。黄帝子孫とされる。優れた見識と徳によって人々を導き,諸国の平和を出現した。また羲仲・羲叔・和仲(かちゆう)・和叔に命じて,東南西北の四方において,天文暦法を定め,民に時刻・四季・1年の推移を知らさせたので,農業をはじめ多くの産業が盛んになった。さらに中国の疆域を定め,12州に分け,刑罰・度量衡などの制度を定めた。自己の子の丹朱は,人徳に欠けるとして用いず,人々の推薦したを後継候補とし,2人の娘と結婚させ,官吏を統率させ,諸侯などを接待させて,その人徳を調べたうえで,舜に帝位を譲り,28年後に没したという。以上はすべて伝説で,歴史的な事実とは考えられないが,儒家を中心として,尭・舜の2人は,有徳の理想的な君主として尊敬されたので,中国では永く帝王の理想像として尊崇されてきた。
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百科事典マイペディア 「尭」の意味・わかりやすい解説

尭【ぎょう】

中国,古代神話・伝説上の帝王。天体の運行を正して暦法を定め,鯀(こん)に治水を命じ,舜に位を譲るなどの事跡が伝えられるが,むしろ天帝的神格で実在的人物でない。後世歴史化され,とともに理想的帝王として尊崇された。→三皇五帝
→関連項目禅譲放伐臨汾

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