尾鈴山(読み)オスズヤマ

デジタル大辞泉 「尾鈴山」の意味・読み・例文・類語

おすず‐やま〔をすず‐〕【尾鈴山】

宮崎県中部、児湯こゆ都濃つの町と木城きじょう町の境にある山。標高1405メートル。尾鈴山地の主峰。東側名貫なぬき川源流部には多くの滝があり「尾鈴山瀑布群」の名称で国の名勝に指定されている。また照葉樹原生林におおわれ、カンランシャクナゲ自生地としても知られる。新納にいろ山。男鈴山。

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日本歴史地名大系 「尾鈴山」の解説

尾鈴山
おすずやま

都農町と木城きじよう町の境界に位置する山で、北面は東臼杵郡東郷とうごう町に属する。標高一四〇五・二メートル、九州山地の南東端に位置してひときわ高いため、独立峰的景観を示している。新納にいろ山とも称する。第三紀中新世の約一千三〇〇万年前に活動したと考えられている古い火山体で、尾鈴山酸性岩類とよばれる火成岩からなる。山頂を含む大部分は流紋岩質から石英安山岩質の溶結凝灰岩で、一部にはこの火山活動の後期に貫入したマグマが冷却した花崗閃緑斑岩が分布している。いずれも活動から長い年月が経過して、柱状節理の発達した緻密な岩石から構成されている。山頂を境として西部はきわめて険しく、矢櫃やびつ谷などを経て小丸おまる川の河谷に落込んでいる。一方、東部は全体としての山容は西部に比べややなだらかであるが、名貫なぬき川の最上流としての渓谷は著しく険しく、無数の瀑布群を形成している。主稜は山頂より北は東に延び、南は大戸越うとんごしを経て上面木じようめぎ山に達する。

山頂には饒速日命を祀る尾鈴神社がある。同社は平地から五里もあり、容易に参拝できないので遥拝所を字木和田きわだに置いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「尾鈴山」の意味・わかりやすい解説

尾鈴山
おすずやま

宮崎県中部、児湯(こゆ)郡都農町(つのちょう)と木城町(きじょうちょう)との境界にある山。標高1405メートル。厚い四万十(しまんと)層群を破って貫入した花崗斑(かこうはん)岩の山体で、石英斑岩、流紋岩も含まれる。東部はなだらかな山容であるが、西部、北部は傾斜が急で谷も深い。この尾鈴山地は北東方向に延び、日向(ひゅうが)市美々津(みみつ)、細島の海岸では、みごとな柱状節理が発達している。山地東側は名貫川(なぬきがわ)の源流部で、多くの滝がかかり尾鈴山瀑布(ばくふ)群として国の名勝に指定されている。代表的なものに矢研ノ滝(やとぎのたき)、白滝があり、それぞれ落差は73メートル、75メートルである。県中部の海岸平野に突出した山地のため、雨が多く、照葉樹原生林に覆われ、カンランやシャクナゲの自生地としても知られる。都農町側の登山口から山頂まで約2時間。

[横山淳一]

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改訂新版 世界大百科事典 「尾鈴山」の意味・わかりやすい解説

尾鈴山 (おすずやま)

宮崎県中部海岸平野の北部にある山。標高1405m。同山を中心にする尾鈴山地は中生代の四万十(しまんと)層の中から噴出した石英斑岩からなり,日向市の海岸では柱状節理の岩が珍しい海岸を形成する。尾根一帯に自生するシャクナゲの大群落と秋から初冬にかけての尾鈴寒蘭は有名。尾鈴県立自然公園に属し,ハイキングコースとして人気があり,尾鈴山瀑布群は名勝に指定されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尾鈴山」の意味・わかりやすい解説

尾鈴山
おすずやま

宮崎県中部の海岸近くにある山。標高 1405m。山体は火成岩の石英斑岩から成るが,西側には水成岩もみられ,小丸 (おまる) 川が深い谷をつくる。東側はゆるやかで山容が美しく,暖帯広葉樹林におおわれ,名貫川上流に尾鈴山瀑布群 (名勝) がある。尾根一帯にシャクナゲの大群落がある。尾鈴県立自然公園に属する。

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