改訂新版 世界大百科事典 「細島」の意味・わかりやすい解説
細島 (ほそしま)
宮崎県日向市の東部地区。米ノ山(192m)と牧島山(119m)が塩見川や潮流,海波の作用による堆積作用によって陸続きになり,両山の間に尾末湾が形成されて,良港細島港が立地した。古くは中国貿易の寄航地であり,藩政時代には初めは延岡藩領であったが,1692年(元禄5)に藩主有馬氏が越後の糸魚川(いといがわ)に転封になったとき,現在の日向市(美々津,幸脇(さいわき)を除く)が天領になった。細島港は南九州の諸大名の参勤交代の港として栄えた。高鍋屋,飫肥(おび)屋,薩摩屋などの藩名のついた屋号の家が残っている。第2次大戦前は延岡市の外港,漁港として発展し,1949年に貿易港,51年に重要港湾に指定され,現在は商業港になっている。また64年の日向・延岡新産業都市指定に伴い,北部に細島工業港が建設され,川崎,大阪,神戸へフェリーが就航し(2008年現在,すべて休航),生鮮食料品などの輸送が行われる。妙国寺庭園(名)や幕末の勤王家海賀宮門の墓,僧日要の墓などがある。
執筆者:下村 数馬
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報