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島鵆月白浪 シマチドリツキノシラナミ

世界大百科事典 第2版の解説

しまちどりつきのしらなみ【島鵆月白浪】

歌舞伎狂言。世話物。5幕。河竹黙阿弥作。通称《島鵆》《千太と島蔵》。1881年11月東京新富座初演。配役は望月輝を9世市川団十郎,明石の島蔵を5世尾上菊五郎,松島千太を初世市川左団次,弁天お照を8世岩井半四郎,車夫野州徳・お照母ねじかねお市を4世尾上松助ほか。作者66歳で劇界引退を表明したおりの作で,以後河竹新七を改めて黙阿弥と名のった。白浪作者といわれた彼の記念作らしく主役4人の役はすべて盗賊,しかもついには改心して罪に服すという結末とした。

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大辞林 第三版の解説

しまちどりつきのしらなみ【島鵆月白浪】

歌舞伎脚本。散切物ざんぎりもの。河竹黙阿弥作。1881年(明治14)東京新富座初演。通称「島鵆」。改心した元盗賊明石の島蔵が、昔の仲間松島千太を、命がけで改心させるという筋。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

島鵆月白浪
しまちどりつきのしらなみ

歌舞伎(かぶき)脚本。世話物。5幕。河竹黙阿弥(もくあみ)作。1881年(明治14)11月、東京・新富座で、5世尾上(おのえ)菊五郎の明石(あかし)の島蔵(しまぞう)、初世市川左団次の松島千太(まつしませんた)、9世市川団十郎の望月輝(もちづきあきら)、8世岩井半四郎の弁天お照(べんてんおてる)らにより初演。通称「島ちどり」。2人組の盗賊島蔵と千太は東京浅草の質屋に押し入り大金を盗んだが、島蔵は因果の恐ろしさを感じて改心し、神楽(かぐら)坂で酒屋を営む。千太はほれた芸者のお照が代言人望月輝の妾(めかけ)になっていることを知りゆすりに行くが、以前大泥棒であった輝の貫禄(かんろく)に負けて引き下がり、その仕返しの加勢を島蔵に頼む。島蔵は千太を九段の招魂社に呼び出し、心を込めた意見でついに改心させる。2世河竹新七として長く劇作を続け、ことに盗賊を書くのを得意として「白浪作者」といわれた作者が引退を決意、黙阿弥と名のった披露のために書いた作で、主要登場人物がすべて盗賊、しかも最後には全員改心するという構成。明治の新世相を描いた「散切物(ざんぎりもの)」の代表作で、とくに大詰の招魂社(靖国(やすくに)神社)は場面の斬新(ざんしん)さもあって大好評を得た。近年は、その前の「明石屋」と2場だけを上演することが多い。三幕目「望月邸」で輝とお照の色模様に使った清元(きよもと)『雁金(かりがね)』も有名。[松井俊諭]

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世界大百科事典内の島鵆月白浪の言及

【白浪物】より

…これらの作品の主人公に共通する特色は,いずれも大悪党ではなく,多くが悪事は働いても義理・人情を重んずる市井人で,因果応報の理に服し,たいてい最後には改心して善に立ち返り,縛についたり死んだりする。黙阿弥は小団次の死後,明治になっても書き続け,81年(明治14)11月東京新富座で上演の《島鵆月白浪(しまちどりつきのしらなみ)》をもって引退したが,その後も《四千両小判梅葉(しせんりようこばんのうめのは)》などを書いている。今日上演される歌舞伎世話物中の重要な一群である。…

※「島鵆月白浪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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