ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
巨大結腸症
きょだいけっちょうしょう
megacolon
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結腸が異常に拡張および肥厚した状態で、横行結腸、S状結腸や直腸に多くみられる。原因によって先天性と後天性に分けられる。
[安富正幸]
ヒルシュスプルング病ともいわれ、S状結腸下部から直腸に至るアウエルバッハ神経叢(そう)(腸の蠕動(ぜんどう)運動を支配する壁内神経叢)の先天的欠損が原因である。欠損部の腸蠕動が消失するために腸内容が通過せず、口側の結腸が拡大して巨大結腸となる。乳幼児期より始まる排便困難、頑固な便秘、腹部の膨隆が主症状で、発育障害を伴うこともある。診断は注腸X線造影のほか、直腸・肛門内括約筋反射の消失や直腸生検によりアウエルバッハ神経叢の欠損を証明することである。治療は、軽症では下剤や浣腸(かんちょう)により排便を図るが、一般には外科手術が行われる。
[安富正幸]
直腸や結腸の狭窄(きょうさく)、シャーガス病(中南米の寄生虫感染症)や潰瘍性大腸炎における中毒性巨大結腸症など、原因疾患の明らかなものをさす。治療は原因疾患の治療を行う。また、幼児期に高度の便秘のために巨大結腸を示すが、アウエルバッハ神経叢の異常はなく、特発性巨大結腸とよばれたものがある。しかし、今日では習慣性便秘によって貯留した糞便(ふんべん)による二次的な巨大結腸として、浣腸や下剤による排便促進で治療される。このほか甲状腺機能低下、パーキンソン病、糖尿病性神経障害、脊髄損傷(せきずいそんしょう)などによる腸機能低下による便秘でおこる巨大結腸症がある。薬物療法が主体であるが、まれには腸切除術や人工肛門が造設される。
なお、ヒルシュスプルングH. Hirschsprung(1830―1916)はデンマークの医師、アウエルバッハL. Auerbach(1828―1896)はドイツの解剖学者、シャーガスC. Chagas(1879―1934)はブラジルの医師であり、ヒルシュスプルング病、アウエルバッハ神経叢、シャーガス病という名称は、それぞれ最初に記載した人物の名前がつけられた。
[安富正幸]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
腸は、食べ物や便、胃腸のなかに分泌された消化液を、肛門の方向へ運ぶ特殊な運動(
巨大結腸症とは、腸の壁にある神経(節)が機能せず、腸がうまく動くことができず、ぎゅっとしぼんだままになり、その口側の腸が張ってしまう病気です。一種の
先天性巨大結腸症(ヒルシュスプルング病)は、約5000回に1回の分娩で発生し、男児が女児の3倍多いとされています。ほとんど(80%)は、S状結腸より肛門側で神経の欠損がみられますが、まれに全部の大腸に及ぶこともあります。
先天性の原因としては、いくつかの遺伝子情報の異常が深く関わっていることが明らかにされつつありますが、十分には解明されてはいません。
多くは先天性で新生児期に発症します。胎便が出ず、おなかが張り、嘔吐を繰り返し、哺乳能力が弱い状態になります。
気づかずに放置されれば、口から栄養がとれずに栄養障害を起こし、嘔吐で塩分が失われるため体内の塩分(電解質)バランスも崩れます。また、吐物を肺に吸い込んでしまうと重い肺炎になります。おなかが張るため呼吸がうまくできなくなり、死に至ることもあります。
後天性で乳児期以降に発症する場合は、症状は軽度で、がんこな便秘やおなかの張りにとどまることがほとんどです。
腹部単純X線検査では腸閉塞の像がみられます。精密検査としては、肛門から腸のなかに造影剤を入れてX線撮影をする注腸造影検査や、直腸の内圧を測定する検査を行います。直腸の組織を一部とって顕微鏡による検査(生検)を行うこともあります。
巨大結腸症と区別する病気には、生まれながら肛門や腸が閉鎖している鎖肛(さこう)や先天性腸管閉鎖症、腸が腸のなかにはまり込んでしまう腸重積などがあります。
治療は専門的な手術となり、根治手術後の予後は良好ですが、将来的に肛門が機能しなくなって人工肛門になることもあります。
また、根治手術はある程度の発育を待って行われるため、それまでの間は、点滴栄養、肛門拡張、浣腸などで状態を保つことになります。
小児科を受診してください。手術は小児外科という特殊な診療科で行います。
杉山 貢
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
…先天性巨大結腸症congenital megacolonともいう。便秘を主症状とする先天性の腸閉塞症で,1886年ヒルシュスプルングHarald Hirschsprung(1830‐1916)により初めて報告されたので,この名がある。…
※「巨大結腸症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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