日本大百科全書(ニッポニカ) 「市場化テスト」の意味・わかりやすい解説
市場化テスト
しじょうかてすと
国や地方自治体が独占してきた公共サービスの担い手を、民と官がサービスの質と価格で競い合って、より優(すぐ)れたほうに決める仕組み。官民競争入札ともよばれ、官業の民間開放を進める手段として使われている。2006年(平成18)、首相であった小泉純一郎の構造改革路線の一環として、実施方法などを定めた公共サービス改革法が成立。国民年金保険料の徴収、統計調査、刑務所運営、国立公園の維持管理業務などが民間に開放された。
2003年(平成15)に政府の総合規制改革会議が導入を提言し、2005年から段階的にハローワーク事業など八つの公共サービスで試行的に導入した。2006年、公共サービス改革法が施行されたことにより、対象事業を拡大。独立行政法人などの業務も対象とし、2009年現在約80事業で市場化テストの導入・実施が決まっている。たとえば、国民年金保険料の徴収業務では、民間委託でコストを従来の4割まで抑制できた。内閣府によると、すでに官民競争入札を実施した44事業をみると、1年当り約100億円の経費削減効果があったという。ただ霞が関の中央官庁は市場化テストの導入拡大には慎重で、自治大学校や消防大学校の管理・運営業務の入札がいったん閣議決定されながら、総務省の反対で見送られる例も出ている。
[編集部]