政府や地方自治体および公社・公団などの政府や自治体の関係機関が提供するサービスを総称して公共サービスという。それらは大きく三つの範疇(はんちゆう)に区分される。第1は政府や地方自治体の一般的活動で,外交,防衛,治安や秩序の維持,消防,民間活動の監督や規制,治山治水などである。これらのサービスは〈公共財〉と呼ばれ,料金を課したり,あるいは他の手段によって消費者がそれらのサービスを享受することを拒否することが困難であるという技術的特性(消費における非排除性)や,ある人がサービスを享受しても,それによって他の人が享受できなくなるということがないという特性(消費の非競合性)などを備えている。そのため,私的には供給されえず,日本のような市場経済においても公共部門によって供給されている。第2は,義務教育や高等教育,成人教育などの教育サービス,社会福祉施設・保健所・病院などの福祉医療サービス,住宅・都市開発などの環境保全サービスなどである。これらのサービスの多くは民間部門によっても供給されうるが,民間企業に任せていたのでは十分に供給されないという問題があるために,あるいは教育の普及や質的向上,シビル・ミニマムの達成などの特定の行政目的を達成するために,公共部門によって供給されている。第3は公益事業で,郵便,電話,鉄道,地下鉄,公営バス,上下水道などである。これらのサービスは独立採算制を原則として,有料で供給されている。
執筆者:奥野 信宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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