公法人(読み)コウホウジン

デジタル大辞泉 「公法人」の意味・読み・例文・類語

こう‐ほうじん〔‐ハフジン〕【公法人】

特定の行政目的を遂行するために設立された法人公庫公共組合など。広義には国・地方公共団体も含む。→私法人

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精選版 日本国語大辞典 「公法人」の意味・読み・例文・類語

こう‐ほうじん‥ハフジン【公法人】

  1. 〘 名詞 〙 国家の下に特定の国家的目的を遂行するために設立された法人。公社、公団、公庫、金庫、公共組合、公共企業体など。広義には国家、地方公共団体も含む。⇔私法人
    1. [初出の実例]「公法人の商行為に付ては」(出典:商法(明治三二年)(1899)二条)

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改訂新版 世界大百科事典 「公法人」の意味・わかりやすい解説

公法人 (こうほうじん)

私法人に対する観念であり,〈公法上の法人〉または〈公の法人〉ともいう。この観念は,国および公共団体を指す意味で用いられる場合と,国以外の公共団体のみを指す意味で用いられる場合とがある。公共団体とは,地方公共団体(都道府県市町村など),公の社団法人である公共組合(土地区画整理組合土地改良区共済組合など)および公の財団法人たる営造物法人(公社,公団など)である。

 国家法人説は,国が私法関係においてあらわれる場合のみならず,公権力を行使するなどの特別の地位において活動する場合においても,国を法人としてとらえようとしたものであり,国を法の拘束のもとにおくという点で積極的な役割を有したが,この場合,国は公法人と呼ばれることがある。ここでは,公法人の観念は,国家法人説と結びついて意味をもっている。

 これに対して,国以外の団体を公法人という場合,この観念は,それらの団体が法人であることを示すとともに,私法人との対比においてその公共的な性質を強調するという意味あいが強い。すなわち,その法的特質として,その設立が国の意思によっており,その目的が法律によって定められていること,社員の加入が強制されること,一定の国家的公権(例,経費強制徴収権限)が認められること,解散の自由がないこと,国の特別の監督に服することが挙げられる。

 ただ,現行の法律をみると,公共的性格を有する団体が公法上の法人であることが明規されている場合もあるが(国民金融公庫住宅金融公庫),単に法人と定められている場合が通常である(地方公共団体,日本銀行,NHK,道路公団,中小企業金融公庫,各種共済組合,土地区画整理組合,土地改良区など)。そして,これらの団体は,公法人であるか否かを問わず,公共的な目的を追求しているのであり,その際,法律によって直接に,あるいは,法律の定めるところに従い国や地方公共団体によって,規制・監督をうけている。さらに,このような規制・監督は,私人によって営まれている学校法人,社会福祉法人,電気・鉄道事業についても行われているが,これはそれらが私益を追求するとともに,一面において公益に資するものであることによる。

 次に,公法人に関する法関係は,当然に公法関係として民商法適用を排除するものではなく,また,この法関係に関する争いが当然に行政訴訟の形式をとることになるわけでもない。

 公法人の観念は歴史的には一定の意味を有したといえるが,この観念を用いて行政法の諸問題を論ずる必要性は乏しいように思われる。
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百科事典マイペディア 「公法人」の意味・わかりやすい解説

公法人【こうほうじん】

公法上の法人。公共団体ともいい,私法人に対する。最広義には国家も含められるが,一般に国家の下に特定の国家目的のために設立され,その内部の法律関係について国家の強制的権力作用の及ぶ法人をいう。公法人は種々の点で,実定法上私法人と異なる取扱いを受ける。公共組合,公団,金庫,公庫など。
→関連項目健康保険組合公共企業体厚生年金基金商人政府関係機関法人

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「公法人」の意味・わかりやすい解説

公法人
こうほうじん

(1) 広く国家または公共の事務を行うことを存立の目的とする法人。国および地方公共団体もこれに含まれる。 (2) 上述のうち国を除いたもの,すなわち国からその存立の目的を与えられた法人。これには,一定の地域と住民と自治権を有する地方公共団体,公の社団法人である公共組合,公の財団法人である営造物法人 (最近は政府関係企業とも呼ばれている) がある。これらを包括して公共団体という。 (3) 上述 (2) のうち公共組合と営造物法人のみを公法人という場合もある。公法人は実定法上,種々の点で私法人と異なった取扱いを受けている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「公法人」の意味・わかりやすい解説

公法人
こうほうじん

国、地方公共団体、公共組合、公団、金庫、公庫、公共企業体などのように、国家的目的のもとに行政権を付与される法人。

[編集部]

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