数理統計学の用語で統計的仮説検定を行う場合に必要な概念である。例えばさいを100回投げて1の目の出た回数が30回もあって,期待される1/6の程度(100/6,すなわち16~17回程度)をこえて異常に多かったとしよう。30回以上は偶然現象としてわりあい起こりうることなのか,あるいはさいがゆがんでいるとせねばならぬのかが問題となる。そこで正しいさいとして100回投げ30回以上1の目の出る確率を調べると二項分布の計算から1%以下になる。すなわち,めったに起こらないはずのことが現実に現れたのであり,正しいさいとした仮説は容認しがたい。そこで仮説を否定することになる。このような仮説を帰無仮説という。この例のようにゆがんでいることを積極的に主張しがたいとき,数理統計的には帰無仮説をおいて,確率の計算により,それがきわめて小さい,例えば5%以下を主張して,仮説を否定する方法がよくとられる。
執筆者:飛田 武幸
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…そうしても言い損なう危険は1%以下である。このような場合,仮説を棄却するといい,棄却される仮説を帰無仮説という。この例では1%を目安としたが,5%の水準のほうがむしろよく用いられ,これらの確率は有意水準と呼ばれている。…
… 検定したい仮説は, H0:μ=8.5である。これをとくに帰無仮説という。一方,標本の平均は, =(9.1+8.1+9.1+9.0+7.8+9.4 +8.2+9.1+8.2+9.3)÷10 =8.73である。…
※「帰無仮説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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