引きこもり(読み)ひきこもり

共同通信ニュース用語解説 「引きこもり」の解説

引きこもり

厚生労働省は「通学仕事をせず、他人と関わる外出をせずに6カ月以上、家にいる人」と定義している。内閣府2010年にも15~39歳を対象にした全国調査を行った。自治体レベルでは、秋田県藤里町が個別の訪問調査を実施。18歳以上54歳以下で引きこもりの人は約8・7%に上った。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「引きこもり」の意味・わかりやすい解説

引きこもり
ひきこもり

自宅あるいは自室に引きこもって社会生活をしないまま年単位の時を過ごす状態厚生労働省の定義では,社会的参加を回避し,6ヵ月以上にわたり家庭にとどまり続けている状態をさす。統合失調症うつ病強迫性障害(→強迫神経症),パニック障害(→不安神経症)などでもそのような状態になるが,精神障害がなくても起こる引きこもり状態を社会的引きこもり social withdrawalという。病名ではなく一つの総合的な状態につけられた名称である。若年層だけでなく 30代以降にも多くみられ,対人恐怖,強迫症状,家庭内暴力,不眠,抑うつ気分,自殺願望,摂食障害などの症状も現れる。不登校をきっかけに長期的な引きこもりになる例も少なくない。統合失調症,うつ病などが原因と考えられれば薬物療法なども有効であるが,そうでなければ専門家による精神療法,本人や家族に対する支援など日常的かつ長期的なケアが必要となる。保健所,全国的な親の会などに相談窓口がある。2010年に全国 15~39歳の 5000人を対象に内閣府が行なった実態調査では,ほとんど外出しない狭義の引きこもりと,趣味用事のときだけ外出する準引きこもりを合わせた広義の引きこもりは,約 70万人と推計された。(→ニート

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「引きこもり」の意味・わかりやすい解説

引きこもり
ひきこもり

「人づきあいに自信がもてない」「他人に接したときに自分が傷つくのがおそろしい」「他人を傷つけはしないかとおそれる」「他人とどう接したらいいかわからない」などの理由をあげて、長期間にわたり自宅に閉じこもる状態。なかには「ストレスが強くかかるので外に出られない」「会社の人間関係が煩わしい」というものから、「妄想や幻覚があって被害感が強いので外に出られない」という精神医学的にみて病理性が高いものまである。学齢のものでは「登校拒否」がその典型例であったが、この登校拒否も拒否的行動とはいえないので「不登校」といわれるようになった。さらに「登社拒否」、「出社拒否」ということばもつくられたが、こうした引きこもりは思春期を中核群として一方では低年齢化、他方では高年齢化している。引きこもりの心性には、社会的責任を受け止めるだけの社会的成熟が遅れているものが多く、したがって精神的には未熟であるものが多い。長い間引きこもり状態にあった者のなかから突発的に犯罪行為をはじめ非行行為を行うケースも出るようになって、これら非行と引きこもりの関係を明らかにしようとする研究が始まっている。精神的な未熟さをもちながらも「怠け」とは異なった半病理性の状態ともいえる。東京都は2007年(平成19)より3年計画で、全国初の地域調査を実施した。

[吉川武彦]

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