引札(読み)ひきふだ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

引札
ひきふだ

ちらし,びら古称。商品の売出し宣伝,店の開店披露などの広告として配布した印刷物のこと。くじ引きのも同じ種類。江戸時代中頃,看板だけではもの足りなくなって出現,当初は顧客だけを対象に利用されていた。印刷の様式木版 (瓦版) の墨刷りから色刷りへと進み,さらに明治以降,印刷技術の進歩によって,無数のパンフレットちらしとして広く配布されるようになった。

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デジタル大辞泉の解説

ひき‐ふだ【引(き)札】

商品の宣伝や開店の披露などを書いて配る広告の札。
「引越は容易に出来ますと云う移転会社の―であった」〈漱石
くじ引きの札。

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世界大百科事典 第2版の解説

ひきふだ【引札】

一枚刷りの広告。今日の〈ちらし広告〉に相当する。京坂では早くから〈ちらし〉と称していた。引札の始まったのは元禄(1688‐1704)近くになってからのことで,文化・文政期(1804‐30)に盛んに行われるようになった。江戸時代から明治初期にかけての広告といえば,店舗に取りつける看板,のれんか物売りの口上のようなものを除けば,配る広告としての引札,はる広告としての〈びら〉があったくらいである。初期の引札では,越後屋が1683年(天和3)江戸の日本橋駿河町に開店したときの,いわゆる〈現金安売かけ値なし〉の引札が有名である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

引札
ひきふだ

江戸時代の宣伝広告の一形式。今日(こんにち)のちらし、ビラにあたる。元禄(げんろく)(1688~1704)のころ、安売りの宣伝札を印刷して配ったことに始まるといわれ、のちに開店、改築の披露や商品の紹介にも広く利用された。特定の顧客に配布するほか、街頭で配り、これには専門のひろめ屋を使うことがあった。江戸の越後(えちご)屋呉服店では十里四方に引札を配ったという。人気戯作(げさく)者に宣伝文を書かせ、下絵に色刷りで花鳥を入れる店もあった。[稲垣史生]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ひき‐ふだ【引札】

〘名〙
① 商品の宣伝や開店の披露などの主旨を書いて諸方へ配る広告の札。ちらし。また、それを配る人。
談義本当世下手談義(1752)二「江戸中端々裏々迄、引札投込て通るを、いかなる安売ぞと」
② くじ引きの札。

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