彩篋塚(読み)さいきょうづか(その他表記)Ch`ehyǒp-ch`ong

精選版 日本国語大辞典 「彩篋塚」の意味・読み・例文・類語

さいきょう‐づかサイケフ‥【彩篋塚】

  1. 朝鮮平壌郊外にある漢の楽浪郡代の古墳。前・後二室の横穴式木室をもつ円墳で、漆絵人物画像のある長方形の彩篋などが出土

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改訂新版 世界大百科事典 「彩篋塚」の意味・わかりやすい解説

彩篋塚 (さいきょうづか)
Ch`ehyǒp-ch`ong

朝鮮民主主義人民共和国,平壌特別市楽浪区域にある楽浪古墳の一つで,旧大同郡南井里第116号墳をいう。いわゆる楽浪古墳群の中心地に当たる石巌里の,南方約600mを隔てた丘陵の北麓に立地し,高さ北面で6m,自然の段丘を利用した南面では2~3m,長さ南北20m,東西23mのほぼ方形墳丘を形成する。1931年に行われた発掘調査の結果によると,古墳の内部は,ふつうの竪穴式とちがって,横穴式に羨道羨門をもつ特殊な木槨墓である。すなわち,北方低地から段丘の端を南に向かって,縦に切り開いて羨道をつくり,それに接続して広い墓壙をうがち,そこに南北に連なる大小の主室と前室からなる槨室を角材で築いている。主室には外槨に当たる槨障を設けて,その中におそらく主人(男子)用と思われる木棺一つと,妻妾用と推測される木棺二つを安置している。槨室および棺の内部から,漆器装身具貨幣,墨書木札,木製明器,瓦質土器など100点を超える多種多量の遺物が発見されたが,前室発見の精緻な人物画の彩絵のある漆篋はきわめて珍しく,この古墳の名称ともなった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「彩篋塚」の意味・わかりやすい解説

彩篋塚
さいきょうづか
Ch'ae hyǒp-ch'ong

北朝鮮平壌市南郊にある楽浪古墳群の一つで,木槨墳。 1931年発掘。木槨は2室あり横穴式で材木井桁に積んである。後室には3つの漆塗り木棺を置き,前室には副葬品を置き壁画の跡を残す。出土品のうち最も貴重なものは,竹皮を細く削って編んだ身とふたから成る彩篋漆器である。長さ 40cmの箱だが,その四隅と身の立上がりには漆を厚く塗って,その上に人物坐像が描かれている。四隅の人物には「呉玉」「楚王の侍者」「美女」などの添書きがあり,立上がりには孝子伝を主題とした人物像が描かれている。塚の年代は鏡,貨泉などからみて,後漢時代のものと推定される。

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百科事典マイペディア 「彩篋塚」の意味・わかりやすい解説

彩篋塚【さいきょうづか】

朝鮮民主主義人民共和国,平壌の近郊にある漢代楽浪郡の古墳の一つで,旧大同郡南井里第116号墳をいう。円形の盛土の下に横穴式の槨室が大小の主室と前室の3室あり,前室に副葬品,主室に3個の漆棺が置かれていた。副葬品は漆器が多いが,この古墳の名称となった彩画のある籃胎(らんたい)漆器の篋(長方形の箱)は漢代の中国絵画資料として重要。

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