御寮(読み)オリョウ

デジタル大辞泉 「御寮」の意味・読み・例文・類語

お‐りょう〔‐レウ〕【御寮】

《「御寮人おりょうにん」の略》
尼。比丘尼びくに。特に比丘尼の長。おあん
「比丘尼の師たるものを―といひて」〈風俗文選師説
江戸時代勧進比丘尼元締め。比丘尼を抱え、売春をさせた。
「いつ頃より―みだりになして、遊女同前に相手も定めず」〈浮・一代男・三〉

ご‐りょう〔‐レウ〕【御寮/御料】

《家督・配偶などの、料となるべき人(候補者)の意。「寮」は当て字
御寮人」の略。「嫁―」
貴人またはその子息息女をいう尊敬語人名の下に付いて接尾語的にも用いる。
「―きこしめして」〈曽我・三〉
万寿―」〈太平記・一〇〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「御寮」の意味・読み・例文・類語

お‐りょう‥レウ【御寮】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「御寮人」の意 )
  2. 比丘尼(びくに)、尼、特にその長として取り締まりに当たる者。→御庵(おあん)
    1. [初出の実例]「うとくなるおりゃうをゑぼしおやにせんとゆふ」(出典:天正本狂言・比丘貞(室町末‐近世初))
  3. 狂言面の一つ。「比丘貞(びくさだ)」「庵の梅(いおりのうめ)」など、老尼の登場するものに用いる。
  4. 江戸時代、売春婦一種であった歌比丘尼、勧進比丘尼の称。特にその元締め。
    1. [初出の実例]「比丘尼の住所は〈略〉功齢(こうれう)へては御寮(オレウ)と号す」(出典仮名草子・都風俗鑑(1681)四)

ご‐りょう‥レウ【御寮・御料】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ご」は接頭語。「寮」はあて字 )
  2. 貴人またはその子息子女、貴人の奥方を敬っていう語。人名または、人を表わす語につき、接尾語的にも用いる。→御寮人
    1. [初出の実例]「万寿御料(ゴレウ)をも五大院右衛門宗繁が具足し進せ候ひつるを」(出典:太平記(14C後)一〇)
  3. 尼寺で、身分の高い尼が住む部屋。また、その尼をいう。
    1. [初出の実例]「今日礼者昌御りゃう〈四条中納言隆永卿息女〉」(出典:言継卿記‐大永七年(1527)一月一三日)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の御寮の言及

【歌比丘尼】より

…ビンザサラを伴奏とした小歌などをうたい盛場に出て売色をもっぱらとしたが,春になると無紋の地味な小袖に幅広帯を前に結び,黒木綿を折った帽子を頭に脇に箱をかかえ,ひしゃくをもった小比丘尼を連れて勧進に出た。江戸中期には年の過ぎた者が御寮(おりよう)と称し,山伏などを夫にもち,江戸浅草などで比丘尼屋を出し売色をして繁盛したが,1780年代(天明年間)以降しだいにすたれた。比丘尼【山路 興造】。…

※「御寮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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